「めちゃ×2イケてるッ!」は笑いを忘れた笑いの番組
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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かつてフジテレビに「森田一義アワー『笑っていいとも』」という番組があった。この番組で、タモリが司会になり、出演者がミニゲームで記録を争う「タモリンピック」というコーナーがあった。この企画が筆者は嫌いだった。一生懸命やって、その失敗を笑う企画だったからだ。
金曜日レギュラーだった明石家さんまもこのコーナーに出ていた。当然一生懸命やるように見せて笑いを取りに行った。ある時、反省会でディレクターがさんまに注意した。
「さんまさん、もっとまじめにやって下さい」
その結果、さんまは番組を降りた。バカなディレクターである。
昔、TBSの期末特番が放送された恒例の「赤坂5丁目マラソン」にTIMのゴルゴ 松本が参加した。ゴルゴは何周かする間、必死の形相で走る他の選手に混じって、漢字マネの「命」のポーズをやり続けた。筆者は勝敗のことなどどうでも良くゴルゴに拍手を送り続けた。さすがゴルゴは笑いの芸人だと感心したからである。
【参考】<「めちゃイケ」の編集がヘタすぎる?>最近の「めちゃイケ」に感じる「スタッフ劣化」の疑念
さて、2月18日放送の「めちゃ×2イケてるッ!」(フジテレビ)は、HPにその内容が「新世代イケメンだらけアイドル30人大運動会(秘)筋肉(秘)号泣(秘)ケンカあの鳥人間と潜水勝負次に売れるのは誰だ!?岡村感動の結末」とあった。
どこにも「笑い」の文字がない。嫌な予感がするが毎週欠かさず見ているので見る。筆者の嫌な予感は的中した。
「笑いはどこに行ったのか」
「笑いの番組なのに笑いはどこに消えたのか」
これまでの「めちゃイケ」なら、様々な仕掛け用意するはずなのに、それは一切無く、男性アイドル達がビーチフラッグ、跳び箱、水中息止め、相撲でただ、ひたすら戦う。芸人チームのリーダーは矢部浩之だが、これがまた何もしない大御所みたいな位置を占めている。
中居正広が「中の人」であることが番組内のお約束になっている鳥人間の着ぐるみが登場するが、番宣などで、「中の人」は江頭2:50 だと既にバレている。
笑えたのはその江頭2:50だけだった。
「俺は8割の力でチョップしているのに、向こうのアイドルは全力でやってくる。だからホントの喧嘩に見えて笑えない」
レギュラー陣はガヤ(ギャラリー)として立っているだけ、役に立たない。もっと立場を演出するか演出されないなら自分立ちで考えだすべきである。
終了の噂も流れている「めちゃイケ」だが、ピックアップメンバーで新番組にするのなら今は、総集編でも放送して、新番組に傾注すべきだろう。本当に笑える番組を期待しています。
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