4野党政策協定の重要性 -植草一秀

植草一秀[経済評論家]

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理想は大切だが、一方で現実的思考も重要。日本政治の刷新を求めている多くの主権者。日本政治を変えなければならないと考える個人は多い。

しかし、政治を変えるにはプロセスを踏むことが必要。選挙というハードルを越える必要がある。個人が単独で選挙に対処できない。考えを共有する者と力を合わせて対処しなければならない。政治活動が政党を軸にするのはこのため。考えを共有する者が政党を軸に行動する。このプロセスを通じて理想を実現する。しかし、多くの主権者の意思を代表する政党が存在するとは限らない。自分の意思を代弁してくれる政党が存在しないと個人の選挙行動は難しくなる。

安倍・菅政治が9年近くも持続して日本政治の劣化が一気に加速した。経済運営では働く労働者を犠牲にして大資本の利益を極大化させる政策が推進された。労働者一人当たり実質賃金は2012年から2020年の8年間で5.6%も減少した。世界最悪の賃金減少国になった。消費税の税率が5%から10%に倍増された。

政治の私物化も目に余る。森友、加計、桜の三疑惑は、すべて政治私物化の悪しき象徴。刑事事件に発展しているが、問題を引き起こした主犯の犯罪が摘発されていない。新しい政権はこれらの重大事件の真相を明らかにする責任を負うが、岸田氏もその意思を示さない。特定秘密保護法、戦争法制、共謀罪の悪法三法が強行制定された。

憲法改定の手続きを踏まずに憲法の解釈を勝手に変える暴挙も押し通されている。この日本政治を根本から刷新する必要がある。一つの政党で国民の意思を代弁できぬとも、基本的な政策を共有する勢力が連帯すれば対応は可能。このことから、基本政策を共有する政党による共闘体制の構築が求められている。

ところが、現実は心許ない。菅失政が続き、野党が日本刷新の必要性をアピールする絶好の機会だった。ところが、野党第一党の立憲民主党の対応が遅く、政権交代の気運が上昇していない。野党共闘を破壊しようとする妨害勢力が存在する。この勢力の影響を排除できずに野党共闘体制構築が遅れている。それでも現実を嘆いてばかりはいられない。

決戦の総選挙は目前に迫っている。「政策連合(オールジャパン平和と共生)」の申し入れを受けて、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組の4党が政策協定を成立させた。消費税減税を公約に盛り込み、共産党、れいわ新選組を含む政策合意が締結された。この意味は極めて大きい。また、辺野古基地建設中止の合意も形成された。国民民主党がこの合意に加わらなかったことも大きく評価できる。

連合六産別と国民民主党は共産党を含む野党共闘の成立を妨害する方向で動いている。したがって、連合六産別・国民民主党と明確に訣別して野党共闘構築に進むことが望ましい。野党共闘に取り組んできた「市民連合」と私たちの「政策連合」との間に、この問題に対する考え方の相違がある。

「市民連合」には六産別が主導権を握る連合が中核的に参画している。このために、連合六産別と国民民主党を外すことができない。しかし、野党共闘成立を妨害している、基本的判断が異なる連合六産別が野党共闘を主導することに無理がある。4野党政策協定を軸に、共産党、れいわ新選組を含む野党共闘を推進することが重要。

野党陣営の混迷が大きな不安要因だが、日本政治を良いものにするには、これらの問題を乗り越えていかなければならない。明確な方針を持って野党共闘確立に向けて努力を重ねるしかない。

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