<メディアを制する自治体は市民サービスも向上>我孫子市がシティセールス部門長に元アナウンサー起用


水野ゆうき[千葉県我孫子市議]

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全国の各自治体が「シティプロモーション」に躍起となっている。

一番わかりやすい「ゆるキャラ」に至っては、2013年「ゆるキャラグランプリ」で1245体もの「ご当地ゆるキャラ」がエントリーしていることからもその過熱ぶりがわかる。「ふなっしー」や「くまもん」の人気による経済効果は計り知れない。地域活性化を目的とした熾烈なPR合戦の主な背景は人口減少と財源確保だ。

大企業が集中しているいわゆる都市型自治体の危機感は薄い。

企業が雇用や生産を通じて地域経済に寄与しているため財源が豊かであるからだ。一方で高齢化の進展によって社会保障関係費が増加し、財源確保のために人口増加・定住化策などの政策を盛り込みながら更なる歳入の確保に努めなければならない状況にあるのがベッドタウンや地方だ。筆者が市議を務める千葉県我孫子市も、歳入の根幹をなす市税は団塊の世代の大量退職等、様々な社会背景により平成20年度をピークに減少している。

更に個人市民税では納税義務者数の減少も続いている

。市税に頼る我孫子市の財政状況で、若い世代の定住化策が市としての大きな政策の柱となった。全国的な自然減は避けられないが、これ以上の人口減少を食い止めるには「シティセールス」を大々的に行い、市の知名度を上げるしかない。したがって広報戦略が極めて重要であり、高い広報能力が必要不可欠となっている。しかし、情報発信や広報戦略に関する認識は必ずしも高いとは言えないのが多くの自治体の現状である。

筆者の所属する我孫子市では、「シティプロモーション」や「シティセールス」が圧倒的に弱かった。そこで、筆者は市議になって以降、メディアの出身という専門性を活かし、我孫子市のシティプロモーションのための様々なPRアイディアを出してきた。まずは、公式Facebookの導入による情報発信を実現させたが、その実現にも難航を極めた。

しかし、何よりも足りないものが「マスコミ戦略」だ。SNSの拡散力は凄まじい。しかし、現実問題としてまだまだ「テレビ」などの既存のマスメディアの影響力は大きい。いかにこれを利活用するかが重要な戦略となる。

他の自治体と同じことをしても取り上げられないことは取材側としても筆者は十分心得ていた。その為、我孫子市では発想を転換し「市役所にはない知恵やノウハウを持つ人材の確保」を進めた。

具体的には、我孫子市は「あびこの魅力発信室」というシティセールス専門部署を設置。そこの室長は公募による民間人登用と決め、その役職には元アナウンサーの深田和彦氏を起用した。これだけでまず、マスコミ各社がこの案件を報道し、我孫子市は大きな注目を浴びた。

こういった自治体による効果的なメディアの利活用の動きは、市民サービス向上への好循環に繋がっていく。近隣市が面白い政策を仕掛け、それが話題になれば、自治体間で競争意識が生まれる。自治体もますます広報に力を注ぐことになるだろう。そうなれば、一番重要な「市民サービスの向上」にも影響を及ぼす。市のイメージアップに自分の街を住みやすい方向へと導く政策をそれぞれがどんどんと打ち出すこちになるからだ。

メディアを制する自治体が勝ち残っていく時代になったのだ。「あびこの魅力発信室」が我孫子市の起爆剤になることを期待する。

 

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水野ゆうき

市議会議員千葉県我孫子市議会
水野友貴(みずのゆうき)千葉県我孫子市議会議員(現在市議会最年少議員)。千葉県我孫子生まれ(1983年2月19日)。 小学3年〜中学2年は米国ロサンゼルス在住。津田塾大学学芸学部国際関係学科に入学・卒業後、東証一部上場企業にて5名の役員秘書を経験後、民放テレビ局に転職。報道局経済部に在籍し日経平均中継等を担当後「BSフジLIVE PRIME NEWS」キャスティング担当。2011年11月に行われた千葉県我孫子市市議会議員選挙に完全無所属・最年少候補者として立候補。前回の市議選トップの票を上回る3016票を獲得し3位当選。地盤・看板・鞄なく、SNSを駆使してボランティアを募り自宅で選挙戦を行ったことや、ネットを活用した情報発信力強化を政策の柱としていることからSNS議員と呼ばれる。