<東京五輪ボランティア>日本は国民のただ働きは当然だと考える国か?

社会・メディア

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

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2020年の東京オリンピック開催に反対である。今も、いつまでも筆者は。

今更、国威発揚でもあるまいし、景気づけのために行いたいと考えているのだろうが、こういう、思いつきの花火は、打ち上げた時だけは華々しいが、その後は、ただ寂しさだけが残る結果となるのである。2020年・東京オリンピックの後、景気は極端に落ち込むだろう。

このように考える筆者が、今、大変腹立たしいのが、「奴隷労働」「ブラック・ボランティア」「無理難題」「学徒動員」「やりがい搾取」などと、揶揄される大会ボランティア11万人の募集である。批判の元は高圧的な募集方法、ただ働きに近いきびしい労働条件に集まっている。応募条件、労働環境を簡単にまとめると以下のようになる。

*コミュニケーション能力がある

*外国語が話せる

*1日8時間、10日間以上できる

*宿泊は自己負担・自己手配

*交通費は自己負担

*採用面接や3段階の研修を受けられる

*20年4月1日時点で18歳以上

*競技の知識があるか、観戦経験がある

一方で、支給されるものは以下だ。

*ユニフォーム

*活動中の飲食

*ボランティア活動向けの保険

*活動補助費1000円

何をか言わんや! 自ら進んでを意味するボランティアには「無償の」と言う意味は含まれない。有償ボランティアと言う言葉さえあるくらいだから、きちんとアルバイトとして位置づけてお金を払え、と思う。ボランティアという名称は何かと誤解を招くので、他の愛称を募集しようとの動きもあると聞くが、姑息なことである。愛称決定にも金はかかるだろうに。

【参考】<東京都が3000万円で制作>結婚と五輪を連動させた動画の絶望的センスの悪さ

大体、今のオリンピックは商業オリンピックと言われるくらいで、巨大で国際的な金儲けイベントである。儲けている企業はと考えると(以下、Business Journal「電通は東京五輪で莫大な利益を独占し、10万人のボランティアを無償で働かせる」より引用)

「招致活動からロゴの選定、スポンサーの獲得、放映中のテレビ・ラジオのCM等の広告宣伝活動、全国で開催される五輪関係行事、五輪本番での管理・進行・演出等、文字通り全部に1社独占で介在する電通、スポンサー料だけですでに4000億円近く集まったともされる。」

(以上、引用)

さらに各種協賛企業、オリンピック施設を作る建設会社、ホテル業者。テレビ局、スポーツ用品メーカー、オリンピック選手などが思いつくが、これらの人々だけが儲けてボランティアはただ働き、というのはサービス残業と同じ構図だ。

思い返せば、オリンピック招致運動時の「お・も・て・な・し」滝川クリステルさんもフランスまで出掛けて、無償ボランティアをしてくださったのだろうか。

最後に、この重すぎる言葉を。

「これが、あなたを追い詰めた日本の姿よ」(電通過労自殺事件の高橋まつりさんの母・幸美さん)

 

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