<「リア充」アピールと同根?>「テレビみませんから」発言にイラッとくる人へ

社会・メディア

岩崎未都里[ブロガー]

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「テレビみませんから」と言われると、筆者は正直イラッとしてしまいます。

この感覚は、「テレビ好きな筆者」のような人だけかと思いきや、周囲の友人達へも聞いたところ「テレビみませんから」は、結構皆さんもイラッとするそうです。理由は「本当はみてるのにカッコつけてるんじゃないの?」と感じるそうです。

他にイラッとするヒトコトも聞いてみると…

  • 「電車乗りませんから」
  • 「マンガ見ませんから」
  • 「雑誌読みませんから」
  • 「発泡酒飲みませんから」

など…

この、イラッで8年前のドラマ『結婚できない男(フジテレビ)』のお約束シーン「おっ、金田更新してるぞ!」を思い出します。

阿部寛さん演じる独身貴族で建築家の「桑野」が、行きつけのバーで居合わせる、高知東生さん演じる女たらしの同じく建築家の「金田」。「桑野」は「金田」に対抗心(?)を抱いていて、殆ど建築仕事をせずに毎回違う女を連れてトヨタGT2000を乗り回す「金田」が気になって仕方ないのです。

「桑野」は「金田」のホームページをチェックするのが日課で、更新のたびに「お、金田更新してるぞ!」と興味津々に見入るのが、お決まりのパターン。

「金田」の投稿にはクセがあり、

「ちょっと、パリに行ってきました」

というような「ちょっと」が枕詞。 この「ちょっと」は毎回繰り返され、イラッとしながらも見入ってしまう「桑野」がなんとも可愛いのです。

  • 「ちょっと、ラーメン食べに札幌まで」
  • 「ちょっと、カラオケで熱唱」
  • 「ちょっと、ハワイへ行ってきました」
  • 「新しいカクテルにちょっとトライ」

と繰り返される「ちょっと」。 友達が作れない(本人は作らないと言い張る)「桑野」は日々充実し贅沢もしている「金田」が羨ましいのでしょう。

「桑野」は充実した『ちょっと』や痛い『ちょっと』に一喜一憂。 そんな「金田」も女遊びや高級車に乗れても、友達が作れない「桑野」と似た人柄だとわかる最終回では二人が仲良しになり、『ちょっと、いい友達ができました』と、なるところはなんとも微笑ましいのです。

この「金田」の更新は、今日で言えばSNSツールでみない日がない「リア充」ではないか? と思い調べてみました。

9年前に掲示板「2ちゃんねる」で発祥した「リアル充実組」が7年前に定着した現象だそうです。(このドラマはその中間の2006年制作!驚きですよ。) 確かに発展途上な「リア充」の「金田」は、充実しているだろ? と言わんばかりにホームページを更新する行為で友達が作れない寂しさを誤魔化しているのです。そんなことがわかるとなんと憎めない可愛いヤツです。

この現象を考えているうちに、やっとわかってきました。

「テレビみませんから」

と、言われても「見ないにしてもテレビモニターがいたるところにある昨今、どうしても自然と目に入るものだし、カッコつけたいのね、なんとも可愛い人だな」と思えるわけです。

そうなると、

  • 「電車乗りませんから」
  • 「マンガ見ませんから」
  • 「発泡酒飲みませんから」

・・・なども全て「カッコつけたいのね、可愛い人だな」と思ってきました。

そう考えると、筆者が今後『テレビみませんから』と言われてもイラッとすることはなくなりそうです。

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