<義務教育を『数の論理』で試算するな>財務省が要求する「小中学校の統廃合と教員数の削減」が日本の未来を奪う

政治経済

黒田麻衣子[徳島テレビ祭スタッフ]
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財務省が、全国の小中学校の統廃合と教員数の削減を文科省に迫っています。「全国の公立小中学校をすべて標準的な規模に統廃合すると、5462校減らせる」という試算だそうです。
「少子化に伴う学校統廃合をさらに進めて、無駄なく最小限の学校数・教員数で回そう」という「数の論理」による発想が背景にあります。過疎化の進む田舎町の子ども達が、毎日どんな思いをして小学校に通っているのか、お役人さんたちはまったくご存知ないのでしょう。
明治5年(1872)の学制以降、明治政府は初等教育を重視し、全国に小学校を設立していきました。当初は、町の寺子屋を「小学校」としたことがその数を大きく増やしたことも事実ですが、政府の施策の結果、明治8年(1875)年には、すでに日本の小学校数は24000校を突破していたそうです。ちなみに、明治8年の全国人口は約3500万人。
ここをスタートに日本の義務教育は、コツコツと就学率を上げていきました。平成26年度「学校基本調査」によると、現在の全国の小学校数は20852校。明治8年以降、最も少ない小学校数だそうです。
教育を、紙の上の数字だけで語ることは、非常に危険です。国家財政が逼迫していることは百も承知です。もちろん、無駄をなくし、どこかで「節約」はしないといけない。
ですが「教育と文化」への出費をケチることは、国の文化水準を大きく低下させることにつながります。教育は「未来を創る」ことです。この国を背負ってくれる若者を育てることは、すなわち国の未来を育てることです。
故ネルソン・マンデラ氏は言いました。

「教育とは、世界を変えるために用いることができる『最も強力な武器』である」

財務省が迫っている「教育財政の節約」が、日本の子どもの学力低下につながることは容易に想像がつきます。町から小学校が消えた時、過疎化は一気に進むのではないでしょうか? 過疎化を促進して、町に人口を集約させるために、小学校の灯を消すのですか?
学校は、子どもたちを育む場所であるとともに、地域のコミュニティ拠点でもあります。日本では、小学校が担っている役割は、とても大きい。「機械的な試算」で教育を語らないでほしいと思います。
 
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