わずか86億円を節約するために小学校を35人学級から40人学級に戻そうとする財務省の愚

政治経済

高橋秀樹[放送作家]
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NHKが2014年10月27日に以下の様なニュースを報じた。

「財務省は財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会で公立小学校で導入された35人学級について、いじめなどの目立った改善が見られないとして、厳しい財政状況を踏まえて40人学級に戻すよう求める方針を示しました」

この根拠となった調査では、

「小学校全体に占める1年生のいじめや不登校の割合は、35人学級の導入前の5年間の平均がいじめが10.6%、不登校が4.7%なのに対し、導入後の2年間はいじめが11.2%、不登校が4.5%だとして、35人学級の導入でも目立った改善がみられない」

としている。しかし、まず、このデータの読み方は正しいとは言いがたい。
「いじめ」がたくさん見つかったのは、「きめ細かに教員が目を配った」からではないだろうか。日本の教員は忙しすぎる、しかも、今は教員が尊敬されなくなっている時代である、一喝して40人を統率できる優秀な教員がどれだけいるのか? 筆者は教員一人で扱える子供は18人位が限度であると思う。
財務省は、従来の40人学級に戻せば、教職員の数をおよそ4000人、国の負担はおよそ86億円それぞれ減らせるとしているが、国民は本当にそれを望むのか。減らすならもっと「違うカネ」を減らすべきではないか?減らすべきカネは他にもいくらでもあるように思う。
1クラスの人数は教員の配置に影響する。例えば新入生が36人の場合、40人学級であればクラスは1つだが、35人学級になるとクラスを2つに分けることになり、担任の教員は2人必要になる。学級の人数は18人ずつのクラスが2つできるということである。
使うところにはきちんと使う。それが予算なのではないか。
 
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