<原寸大の日本の女子大生たち>女子大生は、涙を拭いたテイッシュをどうするか?


影山貴彦[同志社女子大学 教授/元・毎日放送 プロデューサー]

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10月31日に、筆者の7冊目の著書となる、「影山教授の教え子が泣きにくる。~涙が笑顔にかわる京都の女子大研究室」(EARC)を上梓した。

放送マンから大学教員に転じて12年半が過ぎた。時折教え子が悩み相談をしに、筆者の研究室にやってくる。相談内容は多岐に渡るが、平均して、ひと月に2度ほど教え子が涙を流す。

若き女性の涙に当初は狼狽したものだった。だが、最近では、

「ほら、これ泣きティッシュやで」

とさりげなくボックスティッシュを教え子に渡せるようにもなった。彼女たちの涙はしっかりと話を聞き、向き合うことで、研究室を出るときには多くの場合笑顔にかわる。拙著には、教え子たちと筆者の11の物語が紡がれている。

つい先日、

「センセの本、読みました。今度、泣きティッシュを研究室に見に行ます!」

と、ある教え子に言われた。

「??泣きティッシュ・・・って特別なティッシュじゃなくて、フツーのボックスティッシュやで~!」

と、答えた。どうやら、その教え子、「泣けるため」の特別なティッシュをボクが持っていると思っていたようだった。

悩み相談に来た教え子が研究室で涙を流すことにも、頃合いを見てサッとボックスティッシュを渡すことにも、最近すっかり慣れた。

さて、泣いた後のティッシュ。教え子たちはどうしているとみなさんお思いだろうか? 研究室のゴミ箱に・・・という学生はとても少ない。涙を拭いたあと、ティッシュを折りたたんで自分のカバンの中に入れて持ち帰る教え子が圧倒的多数である。

「先生に相談に行って泣いた後は、ちゃんと使ったティッシュを持ち帰るんですよ!」

とお母さんから教育されるものでもあるまい。そんなことは言われずとも、自然と振る舞い、たしなみが身についているわけである。

教え子たちが、少しだけ恥ずかしそうに、ティッシュをきちんと折りたたんでカバンに入れるのを見るたび、なんだか、ほっこりする。実は、まだまだそんな女子大生がほとんどなのだ。

世間のデフォルメされた「若者情報」に振り回されている人のなんと多いことか。そのうち、泣いたティッシュをポイポイと教え子が研究室のゴミ箱に入れるような日が来てしまうんだろうか。いやいや、そんな日はまだまだ先だと信じている。

 

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影山貴彦

影山貴彦(かげやま・たかひこ)同志社女子大学 学芸学部情報メディア学科・教授。早稲田大学政治経済学部卒。専門は「メディアエンターテインメント論」。毎日放送(MBS)プロデューサーを経て現職。日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」「おっさん力」「百恵讃」「社会人大学院生入門」など。