<立花隆がNHK「クローズアップ現代」で暴走!?>「読書ゼロは悪という結論ありき」という指摘は見当違い?

テレビ

千葉大雅[メディアゴン編集部見習い]
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12月10日に放送された『クローズアップ現代』(NHK総合)に、ジャーナリストの立花隆氏が出演した。テーマは「広がる“読書ゼロ” 〜日本人に何が〜」。番組の冒頭で、次のようなナレーションが始まる。

ナレーション「立花隆さんは、人々が本を読まなくなったのはむしろ自然な流れだと指摘します。」

番組は「1か月に本を1冊も読まない人が47.5%」という文化庁の「国語に関する世論調査」の数字を示すことから始まり、次は大学での取材VTR。主に「“読書ゼロ”の影響で、自分の意見を論理的に書けない学生が増えている」という意見が実験付きで紹介された。そして、国谷キャスターと立花氏のトークへ展開する流れ。
さて、ここで番組を見なかった人にクイズを出してみたいと思う。
立花氏は番組後半で「“読書ゼロ”叩き」をしたのか、それとも「読書不要論」を説いたのか? 答へは、本記事末に書いておく。
筆者は番組内で紹介される情報に関しても、特に驚かされることもなく視聴を終えた。しかし、その後のネット上に書かれていた番組の感想を見てむしろ仰天させられた。

「NHKの『“読書ゼロ”は悪だ』という結論ありきの構成を立花氏がぶち壊したので、面白かった」

というような感想が散見されたからである。しかし、筆者から見れば、この番組が「読書ゼロは悪という結論ありき」などという構成であったとは、見当違いもいいところだ。
番組冒頭のナレーションを読み直してほしい。加えて、このナレーションの直前には「“読書ゼロ”を危惧」する筑波大学の逸村裕教授の紹介があった。つまり、番組は、

逸村教授「“読書ゼロ”は良くない」→立花氏「ネットに依存するのは自然な流れだ」

という流れで最初から作られていたのだ。
(クイズの答えは「どちらでもない」でした)
[メディアゴ主筆・高橋のコメント]
異例ですが著者の紹介をします。著者の千葉くんは、灘高校に50名以上の差をつけて、158人の東大合格者を出した(2014年)私立開成中学高校を卒業、大学に行くこと選ばず、2年間NHKとモニター契約をして意見を送り続けた現在20歳の青年。脚本家でも小説家でもなく、放送作家になりたいらしいが、まだ誰からも放送作家としては認められていない。千葉大雅とは、そういう筆者である。
私・高橋も、この『クローズアップ現代』を見た。建物自体が本棚ともいうべき、猫ビルに膨大な蔵書を持つ立花さんをゲストに迎えたNHKは、立花さんが見る者にとって、映った瞬間、本読みの巨人という記号として映ってしまうことを、想像できていなかったのでしょう。
更に、立花さんが「インターネット便所の落書き論」が出る以前から、反対の論陣を張っていたのを知っているのかという疑いも持ちましたが、綿密な調査で知られるこの番組が、それを知らないはずは無い、という結論に達しました。
ということはやはり、番組の違和感は生収録のスタジオ部分の構成があまりに予定調和の流れで構成されていたことに起因するのです。筆者の千葉くんは「結論ありきの番組ではない」という生半可な見方をしていますが、そうではなく「ネット依存は自然の流れ」というやはり「結論ありき」の番組構成だったのです。
強引に結論に持っていくための拙い番組回し。手だれ『クローズアップ現代』には、珍しいミスです。これが「立花隆がNHKに楯突いて暴走」に写ってしまった原因ということになります。
台本通りに進めようという考えは、生放送にとっては最低の愚です。
 
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