<任天堂が久々の新規タイトル「スプラトゥーン」>既存の人気シリーズに依存しないことがゲーム業界の未来を切り開く


八坂亮[ゲームクリエイター]

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人や車が激しく往来する渋谷。そんな渋谷の街に一人の人間・・・いや、一匹のイカが登場した。

これは、5月28日に任天堂が発売するWiiU用ゲームソフト「スプラトゥーン」のTVCMの一幕だ。頻繁に見かけるので目にした事がある方も多いのではないだろうか。

◼︎陣取りゲーム×銃撃戦

スプラトゥーンはインクを使った「陣取りゲーム」に「銃撃戦」を足したゲームである。銃撃戦というとハードな世界観を想像されるかもしれないが、主人公が持っているのはインクが詰まった水鉄砲。キャラクターの見た目からもわかるようにハードな銃撃とは真逆のポップな世界観が特徴だ。

ゲームのルールは実にシンプル。同じチームの仲間と協力してインクを撃ち、フィールドに色を付けていくゲームだ。制限時間内に最も広い面積に色を塗ったチームの勝利となる。

もちろん、「鉄砲」なので敵を撃って妨害も可能で、仲間と連携をとって侵攻と妨害をスムーズに行う事がゲームを有利に進める鍵を握っている。単純なルールの中で戦略性も求められる面白いゲームだ。

◼︎久々に任天堂が放つ新規タイトル

任天堂と言えば、昨今はマリオやポケモン等の誰もが知ったキャラクターを使ったゲームばかりが目立っていたが、今作は全く新しいキャラクターを使ったゲームだ。

新規タイトルは、ユーザーも内容を把握しづらく、発売前にどれだけ多くの人に内容を伝えられるかがヒットの鍵を握っている。本作もそこには力を入れているようで、大量に放映されているTVCMもその現れだろう。

そんな伝える事の一環として、WiiUを所持している方を対象に時間限定で本作を自宅で遊べる「完成披露試射会」なるイベントが先日行われた。

こちらも体験したプレイヤーからは好評で、ネット上でユーザー間の情報交換も活発化している。発売に向けて弾みのつく格好だ。尚、「完成披露試写会」は5月24日朝7時から再度行われるので、未体験のWiiUユーザーは挑戦してみると良いのではないだろうか。

◼︎新規タイトル不毛の時代に輝けるか

先ほど、任天堂久々の新規タイトルと書いたが、新規タイトルが少ないのは何も任天堂だけが抱えた問題ではなく、家庭用ゲーム業界全体の問題と言えるだろう。このような問題を抱える原因の一つは前述の通り、新規タイトルは内容が理解されたり広まったりする事が難しいところにある。

とにかく、購入しようという気持ちになるまでのハードルが高いのだ。ユーザーからすると、よくわからない物に高いお金を払いたくないのは当然だし、内容を理解できたとしても本当に面白いかどうかは遊んでみるまでわからないわけで、新規ゲームの購入とは、どこまでいっても博打でしかない。

そう考えると、売る側も買う側も一定の安心感があるシリーズ作品に逃げてしまうのは仕方がないと言える。しかし、人気シリーズに頼り続けた先に待つ未来は、シリーズの人気が落ちていくと共に衰退していく未来でしかない。ゲーム業界には「自信」が必要だ。

そんな状態にあって、「スプラトゥーン」が輝きを放つ事ができるかが見どころだ。「スプラトゥーン」がヒットしたとして、大きく状況を変えられるかというと難しいかもしれないが、新規タイトルが結果を出す事で少しナーバスになっているゲーム業界に自信を与えられるかもしれない。

発売までもう少し。「スプラトゥーン」が新規タイトル不毛の時代に花開き、任天堂の新たな定番タイトルとなれるか注目だ。

 

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八坂亮

八坂亮(やさか・りょう) ゲームクリエイター 1986年、大分県生まれ。大手ゲームメイカーにて、家庭用のゲームソフト開発を行う傍ら、『らくがきラボ』名義でスマホ向けゲームも開発にも従事。一人でも多く人に「ゲームが楽しい」と感じてもらえるよう日々精力的に活動中。