[江川達也]<「少年ジャンプ」の構造>ヒーローの正義は暴力を使って殺人する「言い訳」

社会・メディア

江川達也[漫画家]
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幼稚園の頃から、正義のヒーローを漫画や映画で見ると、

「これを作っている人は頭が相当悪いんだなぁ。」

と思っていた。

「正義は、暴力を使って殺人をしたがっている人の『言い訳』でしかない」

と思っていた。暴力的な欲求を満たす為に「正義」は使われる。そうじゃないものを殆ど見ない。
基本的にヒーローものの主人公はジャイアンなのだ。まわりの知能の低い「仲間」がその下衆な欲望を支持してくれるというおまけ付きの。
「少年ジャンプ」の人気漫画は、下衆な欲求を主人公が満たす為に、たくさんの言い訳を用意して描かれている。その構造に読者が気がつかないほどよく売れる漫画だ。
「少年ジャンプ」だけではない。すべてのエンターテイメントはそういう構造になっている。そういう構造を読者に自覚させるととたんに人気は落ち、連載は終了する。
現実社会を生きるにあたって、「醜悪なる正義の構造」の客観度をあげて、他のいろんな視点から見ることができるような人じゃないと世の中は読めない。
自分の主張を熱くなって語る人は、基本的に馬鹿だと思っていい。
・・・と、幼稚園の頃に思った。漫画家として生きにくい世の中だ。

(本記事は、著者のFecebookエントリを元にした編集・転載記事です)

 
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