<ドラマ「偽装の夫婦」最終話>自分の都合を押し通す大人たちしか見えない残念感
河内まりえ[メディアゴン編集部]
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日本テレビのドラマ「偽装の夫婦」が12月9日、最終話を終えた。
筆者は以前、ドラマ「偽装の夫婦」(日本テレビ)を「ただ笑って見てはいけない」考えさせられるドラマだと指摘した(https://mediagong.jp/?p=12981)。
だが、最終話まで終わった今、非常に残念な気持ちでいっぱいである。最終話に向かうにつれ、徐々に失速してしまったと感じたからだ。
このドラマのテーマは「自分の心のままに生きる」だったように思う。心を閉ざしてきた嘉門ヒロ(天海祐希)であったが、陽村超治(沢村一樹)との再会や周囲との関わりによって、本音を言えるようになり、「自分の心のままに生きる」ことができるようになっていく。
第9話で偽装の夫婦関係を解消したヒロとだったが、それぞれの人生を歩み始め、新しいパートナーもできる。
しかし、1年後に再会したヒロと超治が今のパートナーをあっさりと裏切ってしまう流れが唐突すぎた。説得力を感じられず、ドラマをつまらなくさせていると思う。
はっきり言って最終的に再び結婚する二人の当て馬にさせられたようにしか見えない。「自分の心のままに生きる」ことを望んだ結果、周囲の人を巻き込んで傷つけているようにしか見えなかった。
ヒロは、新しくパートナーとなった水森しおり(内田有紀)を傷つけ、娘の由羽(井上琳水)との家族になるという約束も果たさない。これでは、「心のままに自由に生きる」どころか、ただの身勝手なわがままだ。泣き叫ぶ由羽を観ていると、大人たちが子どもをいじめているようにしか見えない。
周囲の大人たちがヒロと超治の関係を認めるように話すが、結局のところ自分の都合を押し通す大人たちにしか見えない。
だが、肉体まで結ばれることが、人を愛するという固定観念から解放された価値観を提案したという点ではとても興味深い。夫婦や親友という定義を超えた新しいパートナー像は、筆者に深く考えさせられるきっかけを与えてくれた。その点では、非常に有意義なドラマであったように思う。
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