<8年間も発見されなかった遺体>「厚木男児白骨遺体発見」と行政の「不作為」の罪
山口道宏[ジャーナリスト]
保護責任者遺棄致死という痛ましい事件。発見された5月30日は「男児」の13歳の誕生日だったという。
つまり遺体で発見された5歳児(当時)は生きていれば13歳だが、身長は約1メートルで4から5歳児のまま。変色した服におむつをつけ室内はコンビニ弁当のから容器が散乱していたと伝えられた。電気とガスは止められていた。
死亡推定は06年10月から07年1月で、すでに男児は白骨化していた。
「無縁社会」と言う言葉が思い出される。7年以上もの間、近隣や周囲にまったく気づきがなかったのか。複数の行政機関が「異常」を感じるも連携は不十分、結果的には見過ごした。
行政は既に多くの高齢者孤独死から、「プライバシー」を理由に介入を拒みつうければ、事件事故に至ることを学び、その縦割りを解消し、情報共有に努めることを教訓としたはずだった。
そこで、おこった本件である。なにより男児は「非通学」状態だったのだから、小学校、教育委員会、児童相談所、検診機関など行政の「不作為の罪」は重い。ましてや近隣との関係性が薄くなった現代社会では、行政から地域へのアクションが求められる。
必要な情報共有では、
- 行政内部の縦割りを取り払うこと
- ライフライン事業者(電気ガス水道など)と行政の連携強化
- 児相要員の増加
これらが必要である。
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