<よく言った。それをお前が、やってみろ②>「引き算で治す」ことが出来ない人々。ダメなテレビ番組の治し方
高橋秀樹[放送作家]
「ダメなテレビ番組の治し方」と題したこの記事のタイトル。もちろん、「治す」は「直す」の間違いではない。
今回は「視聴率の取れないテレビ番組」を治す処方箋について書いてみたいと思う。「視聴率は悪くてもいい番組」という考え方はとりあえず放っておく。
僕の知っている治しし方は3つ。「引き算で治す」「割り算で治す」「掛け算で治す」である。つまり、「足し算で治す」方法はない。その理由はこのシリーズの最後に明かす。
始まったものの、視聴率が悪い番組は、治し甲斐がある。何しろダメなところがいっぱいあるわけだから、そのダメなところを、「引き算」によってやめればよいわけである。
島田紳助司会の『嗚呼!バラ色の珍生!!』は、当初、低視聴率にあえいでいたが、Aプロデューサーが、ある時、一分ごとに記録される視聴率の折れ線グラフに、微妙な変化があることに気づいた。
一桁で地を這うようなグラフを描く折れ線の中でそこだけ1%ほど上がっていたのである。番組終了も含め、腹をくくっていたAプロデューサーは、1%だけ上がっていたご対面のコーナーに、賭けた。それだけを残して、他のコーナーをすべてやめた。引き算をしたのである。
全編が涙滂沱のご対面になった。視聴率は上がった。このように引き算は有用だ。 分かりやすいように、情報ワイド番組を例にとると、引き算する要素はいろいろあることがわかるだろう。
- 情報を持たないコメンテーター
- 独自取材のない芸能コーナー
- 今興味のあるニュースに淡白すぎる報道コーナー
- 評論家的言動のスタッフ
- ブレている番組戦略
・・・など。
そういうところを見つけ出して、引いて引いて、引き算して残ったところだけで番組を構成すればよいのである。『嗚呼!バラ色の珍生!!』の例は引き算ではなく足し算ではないかって?いやこれは引き算なのである。
足し算治しがダメな理由はまた次回。
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