<視聴率より平均年齢>フジテレビはなぜ「49歳以下が見ている番組」を表彰するのか?

社会・メディア

メディアゴン編集部
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フジテレビが「49歳以下の視聴者に支持されている番組」を選んで初めて表彰した。6月7日発行のテレビ業界紙「日刊合同通信」が次のように報じている。

<以下、引用>占拠率三〇%超対象の「U49賞」フジ、編成局長褒賞に設定し初表彰 フジは、「編成制作局長褒賞」で「アンダー(U)49賞を設定しこのほど表彰した。同賞は視聴ターゲットに据えている四九歳以下の占拠率が三〇%を越えた番組を対象に設けた者で、今回の初受賞番組は「サザエさん」「ちびまる子」「ワンピース」「ワイドナショー」「はやく起きた朝は…」「ノンストップ」「めざましテレビ二部」等。<以上、引用>

さて、ここで「占拠率」について説明する。
まず「視聴率」とは言うまでもなく、調査対象世帯のうち、その番組を見てる世帯がどのくらいの割合かを示す指標だ。テレビを付けていない(見ていない)場合は、カウントされないので、「100マイナス各局の視聴率の合計」が、テレビを見ていない世帯となる。
それに対し「占拠率」とは、その時間帯にテレビを付けてる世帯のうち、その番組をどのくらいの世帯が見ているか、を示している。各局の視聴率の合計を100として割り出す。
つまり、同じ時間帯を調査した場合、視聴率よりも占拠率のほうが大きい数字になる。当該表彰の場合は、この占拠率を49歳以下だけに絞って換算したものである。つまり、壮年以下の(一応)若い人に人気のある番組を表彰したと理解すれば良い。
この表彰はビジネス上、どういった要請によって行われているのだろう。単純に考えて「若い人にテレビを見て欲しい」という局の考え方であろう。
では、なぜ若い人にテレビを見て欲しいのか。スポンサーが購買力のある若い視聴者に見てもらえるテレビ番組を望んでいるからであることは想像に難くない。
【参考】<「笑点」超えがテレビの使命>今のテレビマンは視聴率日本一「笑点」を超える番組を創ることができるのか?
つまり、年寄りは購買力が無いと考えているのである。お金をたくさん持っているのは団塊の世代を含む高年齢層であるが、彼らは金を使わない。テレビに煽られて欲しくなるような物がもうない、とも言えるかもしれない。
かくして、番組は意識して、どんどん若い人に向けて作られることになるが、それと逆行するように、若い人はどんどんテレビを見なくなっている。やはり、視聴率は高齢者を取り込まないと上がらないのが現実だ。
一方で、今回は、占拠率を基準に表彰しているわけだが、実際に表彰されている番組をみると、特に若い人向けに作ることを意識していない番組ばかりなのは皮肉なことである。
ところで、49歳以下の視聴者の割合が多い番組と言うことは、表彰された番組は、視聴者層の新陳代謝が盛んである。つまり、長続きする番組と言うことも言えるのだろう。
そう考えると、テレビ番組の指標として「視聴者の平均年齢で評価する」という方法もありうるかもしれない。
例えば、視聴率20%の『笑点』(日本テレビ)だが、視聴者の平均年齢が「52歳」なので「良くない」とか、視聴率7%で苦戦している『めちゃイケ』(フジテレビ)は、視聴者平均年齢が「35歳」なので「良い」・・・という評価だ。
小さなパーセンテージの集合が、大きなパーセンテージの集合よりも大きな影響力や消費を発揮している事例は多い。視聴者の平均年齢で一喜一憂するような評価指標は、広告を流すスポンサー企業やマーケティングにも大いにメリットはあるだろう。
ちなみに、もし平均年齢による番組評価が導入されれば、「最も良い番組」は、視聴者平均年齢が「3歳」のNHK Eテレ『おかあさんといっしょ』ということになる。
 
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