<SMAP解散>北朝鮮状態のジャニーズは芸能界の縮図
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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「独立派は人民の解放に失敗しました。事態はますます悪くなりそうです」
北朝鮮のことではない。ジャニーズ事務所とSMAP解散のことである。しかし、今回の騒動を通して、北朝鮮とジャニーズ事務所、ひいては日本の芸能界とのアナロジーが、多くのことで成立すると筆者には思える。
マネージャーと一部メンバーによる独立分派活動は、ジャニーズ王朝の切り崩しにあってあえなく頓挫した。王朝にとっては、領土を減らす独立は世襲を盤石のものにするにあたって、決して認めてはならないことであったからだ。
本当の首謀者は誰だかは分からないが、これからも使い道のありそうな独立活動家の処分には手を付けず、王朝は「参謀」を粛正した。そして、独立活動家たちは王朝の命令により、私物化されたテレビ番組を使って、「独立解散はない」と社会に宣言した。
テレビに映し出される独立活動家たちの表情には、明らかな不満の色が見て取れた。こういう場合では、立ち位置をどうするか、物理的にどう並ぶかが内情を伺う大きなヒントとなるが、その序列はあからさまに変わっていた。王朝ファミリーを除く序列1位にはこれまでと違う人物が立っていたのだ。わかりやすい「見せしめ」である。
【参考】<SMAPはゆるやかに自殺する>ファンが気づいたSMAPを操縦していた「他の誰か」の存在
そう、これはまるで北朝鮮ではないか。
8月13日、SMAPは2016年12月31日をもって正式に解散することを発表した。しかし、独立活動家たるメンバーたちが追放されることはなかった。彼らを外部に出してしまうと、この独立活動家たちがまだまだ王朝に徒なす危険な能力を持っている芸能者であったからだろう。結果、独立活動家たちは王朝内部に幽閉された、というわけだ。
そして、この北朝鮮のごとき体制こそが、日本の芸能界の内実である。
独立活動家たるメンバーたちが唯一集合する番組「SMAP×SMAP」は年末まで続くという。チームワークで出来ている番組を、解散が決まり心の離れたグループの「手抜き作業」で見せられるとしたら、視聴者にとっては大きな迷惑だ。CMを買っているスポンサーにも失礼なことでもある。
「人民の解放に失敗しました。事態はますます悪くなりそうです」と言う報告が出せるのは王朝内部にいる工作者であろうが、現段階で、それはどうやらいなさそうだ。
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