<ダメな番組を点検する方法>番組の音声を文字に書き起こすと必要のない演者と面白くないコーナーが浮かび上がる
高橋秀樹[放送作家]執筆記事
ダメな番組を点検する方法がある。番組の音声全部を文字に書き起こすのである。それを改めて読むと、そのとき、無駄な発言をしている番組に必要のない演者を見抜く事ができるし、よく見ると面白くないコーナが何か、自然に浮かび上がってくる。
もちろん文字で読むと消えてしまうものがある事には留意する必要がある。声の大小、抑揚、言い方、言葉本来の意味よりもテレビではこれらが優位だからだ。要するに、脚本を読む要領でこの、文字書き起こしを点検すればよいのである。どんな優れた脚本でも、現場で役者が場の空気を読んで放り込んだ台詞にはかなわない事があるから、脚本読みの達人はそんな事も会わせ読んでいるのである
こうして文字起こし原稿を読んでいくと、ダメな演者として、容易に浮かび上がってくるのが「なぞる発言」をする、凡庸なコメンテーターである。テレビでは常に前に進んでいる事が必要である。ところが「なぞる」と、なぞったところで番組の進行が止まる。そこがチャンネルを変えるチャンスになる。
「なぞる発言」がダメな理由は前に向かって進んでいる番組を止めるからである。
例示しよう。
「なぞってもいい場合」を、先に上げる。
素人が出演していて面白いことを言った。だが、声が小さすぎて今ひとつ出演者や視聴者に聞こえていない。そこでわきにいた縁者が発言をなぞる「それは嘘だっていってます」このなぞりはいい。事態が聞こえないから聞こえるに進んでいるからである。
ところが凡庸なコメンテーターなどは「ただ、なぞる」
- 「謎だと言う訳ですね」
- 「鰹味が利いてますね」
- 「寒くなると」
- 「主な対処だと言う事ですね」
- 「ほんとに、気をつけたいです」
録音機でも代わりが務められるようなコメンテーターである。読めもしない、視聴率の折れ線グラフより「全文書き起こし」の方が役立つかもしれない。
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