安倍昭恵氏の国会証人喚問は避けられない -植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]

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「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」

これは、昨年2月17日の衆議院予算委員会での安倍晋三首相の答弁である。

財務省は森友学園に時価10億円相当の国有地を実質200万円で払い下げた。国有地不正払下げの疑惑が濃厚に存在する。安倍首相夫人の安倍昭恵氏は森友学園の新設小学校名誉校長に就任した。安倍昭恵氏は森友学園で3度も講演をしている。森友学園の籠池泰典氏夫妻によると安倍昭恵氏は森友学園に100万円の寄付をしたという。

安倍昭恵氏が新設小学校の名誉校長に就任すると、森友学園の籠池泰典理事長は安倍昭恵氏に新設小学校の学校用地について相談をした。安倍昭恵氏は安倍昭恵付の公務員秘書である谷査恵子氏に指示をしたと推察される。谷氏は安倍昭恵氏の指示に基づいて財務省と折衝した。

その結果として、財務省は森友学園の土地賃貸料の引き下げや、激安価格での国有地払い下げに動いたと考えられる。森友学園と近畿財務局の折衝については、録音データが存在することが明らかになった。

籠池泰典氏の、「グーンと下げていかなあかんよ」の発言に対して、近畿財務局の担当者が、

「理事長がおっしゃるゼロに近い金額まで、私はできるだけ努力する作業をいまやっています。でも、1億3000万円を下回る金額にはなりません。」

と返答したことが明らかになっている。

財務省の佐川宣寿前理財局長は、国会答弁で近畿財務局や財務省理財局が、森友学園側と事前に国有地払い下げに関して価格交渉をした事実はないと答弁している。この佐川宣寿前理財局長の国会における虚偽答弁も明らかになっていると言ってよい。

佐川前理財局長は森友学園と近畿財務局および財務省理財局との折衝記録はすべて破棄したと国会で答弁したが、折衝記録が存在することも明らかになっている。虚偽答弁をした佐川宣寿現国税庁長官を国会に招致し、事実関係を明らかにするとともに、佐川氏の責任を問う必要がある。

そして、何よりも安倍昭恵氏の国会での説明が求められる。安倍首相は「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と国会で明言しているのである。

これまでに明らかになっている事実は、「安倍昭恵氏が関係している」ことを証明するものである。安倍首相が安倍昭恵氏の証人喚問を拒絶するなら、安倍首相は国会答弁に従って「総理大臣も国会議員もやめる」必要がある。「やめない」と言うなら、安倍昭恵氏の証人喚問に応じるべきだ。

安倍政権は昵懇にしていた籠池泰典氏夫妻の証言により、安倍昭恵氏が森友学園の国有地取得問題に関係していたことが明らかになることを恐れて、籠池泰典氏夫妻を犯罪者に仕立て上げただけでなく、不当に籠池氏夫妻を半年以上も投獄していると指摘されている。

籠池氏夫妻は起訴されているが犯罪が裁判によって確定しているわけではない。元検事で弁護士の郷原信郎氏は、籠池氏が巻き込まれている事案は「補助金適正化法違反容疑事案」であって「詐欺罪容疑事案」ではなく、最終的な処分は罰金もしくは起訴猶予に該当するものだと指摘している。

6カ月以上の接見交通を禁止したうえでの勾留は人権侵害そのものである。安倍首相は北朝鮮や中国を人権侵害国家だと主張するが、そんなことを言う前に、日本における重大な人権侵害を即刻中止するべきである。山本太郎参議院議員が国会で「口封じ」ではないのかと質したが当然の質問である。

また、NHKは数少ない国会における予算委員会審議の模様を一部テレビ中継しない。安倍首相の宣伝本と言える出版物の著者が準強姦容疑で逮捕状を発付された。しかし、逮捕直前に警視庁刑事部長の中村格氏が逮捕執行を取りやめさせた。政治圧力による捜査妨害である疑いが濃厚だ。

この問題を追及する国会審議が行われ、被害者とされる伊藤詩織さんが膨張する審議場面の国会中継がなかった。また、山本太郎氏が質問する審議場面の国会中継もなかった。このような偏向放送を繰り広げるNHKとの放送受信契約を国民に強制することなど言語道断である。

日本の惨状がいよいよ煮詰まっている。主権者は早急に安倍政権を打倒して、この国を惨状から救い出さなければならない。

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