NHK『ブラタモリ』の林田アナがいま大変好ましい理由
物部尚[エッセイスト]
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筆者は『ブラタモリ』(NHK)のファンである。林田アナの存在感が大変好ましいと感じる。
9月28日(土)の放送は「比叡山の修行~比叡山はなぜ“母なる山”になった?~」であった。筆者は文化歴史的な紀行より、地理地学的な紀行のほうが好きだが、その理由はこちらのほうが知らない知識が得られるからである。
番組中、注目すべき出来事があった。パートナーの林田理沙アナが、比叡山の僧に、悩みを相談するシーンがあったのである。比叡山はおみくじ発祥の地だそうで、林田アナが引くことになったのである。比叡のみくじは変わっていて、具体的な悩みを僧に述べ、創の面接があり、その後おみくじを引いて、それがこたえとなる。
林田アナの悩みは次のようなものだった。『ブラタモリ』という番組に出演するにあたって、「もっと勉強して臨んだほうがいいのか」。面白いのは、タモリが間髪をいれず否定したことである。
「そんなことしなくていいよ」
心の底からふりしぼったような本音発言であった。この番組に林田アナが「勉強して臨むかどうか」は、番組の根幹にかかわることであって、シャレで言う以外は言ってはいけないことである。と筆者は思う。勉強しての臨む旅は、タモリが最も避けたいところで、そうしないところがこの番組の楽しさなのである。
おそらく、と筆者は思う。林田アナはおみくじの悩みを何にするかをスタッフに相談した。そして、普段から考えていたことを口にした。「私はもっと、行く先の情報を集めたほうがいいのではないか」スタッフは、あまり考えずに同意してしまった。それが番組の根幹に関わることとは思い至らずに。
それを口にするや否や、タモリの否定発言になったのである。で、おみくじの結果はどうなったか。「もっと学んで臨めばいい」ということだった。おみくじにタモリが、どうリアクションしたかはわからない。編集してあったからである。
林田アナはどうすればいいのか。筆者は思う。旅先については勉強してよいのである。ただし、本番に臨んだときはこうすべきだ。その方法はテレビの先達が筆者に教えてくれたことである。
「答えを知っているときは3分の1の力でやればいい」
3分の1の力より、さらに低くするかどうかは、それこそ、林田アナの勉強である。
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