コロナ被害「補償」は自己申告?! 支払日不明の緊急施策では生命が危ない
山口道宏[ジャーナリスト、星槎大学教授、日本ペンクラブ会員]
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200億円がかかるという。「新型ウイルスコロナ」は世界で100万人の患者に拡大、と報じられるときに「全戸に布製マスク2枚郵送」が我が国の国策だから誰もが呆れた。「外出自粛を」「ロックダウンに」「医療崩壊が」というそばから恥じることなく「洗えるマスクで」(首相)とは、あまりにKYな施策で、国民を愚弄しているとしか言いようがない。
我が国政府の「コロナ緊急経済対策」はなんと4月に入ってからで、肝心の「現金給付」はようやく金額が決まったという(自民党・政府4月3日)。当初の「10万円」が「20万円」に、そして「30万円」と、国民の反応を見ながらの政府の仕儀はいかにもこずるい。
「自粛」と「補償」はセット施策だ。本来は、行政が「自粛」を要請する前に、それで損失するであろう部分の「補償」の用意がなくてはならない。ところが、この国は逆転していた。さらに「現金」では代替? として「商品券」「お肉券」「お魚券」「消費減税」が浮上し、たどり着いたのが1人当たりでない「1世帯当たり30万円」(注・マスクの「一戸当たり」とも違う? 単身者も10人家族も一緒? )というものだ。
また、国は「手続きを簡単にするために自己申告制にする」?? と発表。収入が減少したことを示す書類など提出を求めるという。なにより条件の「一定の水準まで所得の減少が」「世帯単位で」「自己申告で」のいずれも根拠不明の体。となれば、該当かどうかは審査後だから一体いつ「お金を手にできるのか」は皆目見当がつかない。「対策」は全ての国民が、いのちに、くらしに、いま困難と困窮をもたらしていることへの<緊急性>の配慮がまったく感じられない。
[参考]<赤木夫妻の愛別離苦>安倍夫妻に奪われた「ちょうどいい幸せ」
「マスク」は全戸に配布というものの「現金」は申請(自己申告)があってから、というから安上がりを目論む手口だ。そもそも我が国行政の申請主義とは「申請方法が分からない」「申請をしたくても」「申請はしたけれど」、また申請妨害もあると不評だ。行政の申請主義の壁は高く、本件でも「申請はあったけど」という<お上のサジ加減>になるは必至といえよう。(相談先:全国労働局、日本労働弁護団、全労連、派遣ユニオンほか)
さて、従来からある「雇用調整助成金」(休業手当の一部補助制度)も助成率アップというが、休業手当は企業負担になるので助成申請自体をしないところもでてこないか。また、感染予防のため休校措置のために仕事を休まざるをえなかった保護者が対象の助成金では1日最大8,330円(期間2月27日-3月31日/申請6月末まで/非正規は4,100円) とか。ただし、会社が雇用保険にはいっていることが条件だから、そうでなければ泣き寝入りか。
会社が国へ請求し支払いも会社へという流れだが、ここでも支払いはいつになるかはまったく不明だ。申請には審査があるから結果はずっと先に持ち越される予測もたつ。その間、会社は対象従業員に立替えになる(対象子弟は保育園児・幼稚園児、小学生まで 特別支援学校は高校生まで)が、果たして大丈夫か。(問い合わせ:厚労省委託支援相談コールセンター・0120-603-999)
「現金給付」も「休業補償」も、言ってくるのを待つという緊急対策に「喝!」 だ。メディアには、いまこそ「労働者目線」が強く求められている。
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