連合に支配されぬ中核野党不可欠 -植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]

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連合問題の解決が急務だ。連合は労働者の代表であるかのような振る舞いを示すが連合に加入する労働者は全労働者の1割に過ぎない。加入者は約700万人。

その連合を支配しているのが「六産別」。六つの産業別労働組合だ。

電力総連、電機連合、自動車総連、基幹労連、JAM、UAゼンセン。

基幹労連は鉄鋼が中心。JAMは機械、金属。UAゼンセンは繊維や流通の企業が属する。六産別の特徴は大企業御用組合が太宗を占めること。旧「同盟」系の組合が中心だ。「連合」は旧「同盟」、旧「総評」などが統合して創設された最大の労働組合連合だが、現在は旧同盟系の組合が主導権を握っている。

私たちが知っておかねばならないことは旧「同盟」の出自。そもそも、何を目的に創設された組織であるのかを知っておくことが重要だ。同盟は反共・反社会主義の民社党の支持母体として1964年に創設された。民社党の創設は1960年。民社党の創設にはCIAが深く関与している。日本の革新勢力が一枚岩で結束することを阻止するために民社党が創設された。自民党政治を側面支援することが民社党の最大使命であったと考えられる。

連合は旧同盟系組合と旧総評系組合などが合流して創設された。現在の連合加入労働者数は約700万人。このうち、約6割の400万人が六産別所属労働者である。大企業御用組合所属労働者であり、「貴族労働者」と表現することができる。連合は労働者全体を代表するかのように振る舞うが、連合を支配する「六産別」に加入している「貴族労働者」は労働者全体の6%に過ぎない。「六産別」が連合を支配し、連合は右旋回を強めている。

現在の日本政治の中心課題に関して連合は、

*対米隷属・戦争法制容認

*原発稼働推進

*弱肉強食政策容認

の色彩を強く示す。

これが現在の「連合」の実態。一般労働者の利害と意思をまったく代表していない。その連合が野党勢力を振り回していることがおかしい。国民民主党は連合と一心同体と言ってもよい存在。かつての民社党が名称を変えた存在と言っても過言でない。

問題は、政治刷新を求める日本の主権者多数が、連合が掲げる路線に賛同していないこと。

日本政治刷新を求める主権者=労働者は、

*対米自立・戦争法制廃止

*原発廃止

*共生の経済政策

の実現を求めている。

この基本路線を明示する中核野党を必要としている。立憲民主党がこの方向に進むかに見えたが転向した。著しい右旋回を示している。この立憲民主党までもが連合の軍門に下ってしまった。昨年10月31日の衆院総選挙で立憲民主党が惨敗した理由がここにある。右旋回して連合の軍門に下り、国民民主党と差異がなくなった立憲民主党を支持する主権者は極めて少ない。立憲民主党は順当に大惨敗した。

労働者の6%の「貴族労働者」が野党を仕切ることがおかしい。事態を打開する第一歩は、連合に支配される政党を支持しないこと。「非六産別労働組合」は連合から離脱するべきだ。労働者の94%が支持し得る本当の中核野党を創設する必要がある。連合と立憲民主党の解体がその第一歩になるだろう。

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