国が「ルフィ」になる?「マイナ詐欺」に遭わないために

社会・メディア

山口道宏[ジャーナリスト]

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「消えた年金」(2007年「年金記録問題」5000万件)を憶えておられようか。

老いの暮らしの命綱といえる年金がまさかの「不明」になった事件だ。それは政権交代の引き金にもなり、国は多額の公金を使って追跡するが、15年経ったいまも2000万件は解明困難と伝えられる。

件(くだん)のマイナンバーカード一本化(マイナ一本化)でトラブル続出だ。国策が進めるマイナンバーだが、そのカードと「銀行口座」「健康保険証」「住民票等証明書発行」との「紐づけ」で事故が多発。「他人の口座が」「他人の保険証が」「他人の住民票が」といった個人情報のダダ漏れ だからヤバイ!

明日は我が身で、事故はやがて事件となるも必至だ。安全性などどこ吹く風で、ひたすら普及を急いだ国は最大2万円のポイント付で人心を釣るからコロナ禍のGOTOキャンペーンと一緒の手法。これとて税金投入だ。事故頻発を聞き「人為的ミス」とあざ笑う河野太郎デジタル相は自称「突破者」らしいが、過日のコロナのワクチン入手での迷走ぶりが甦ってくる。

ところで、国は事故をきっかけに5000万件の「紐づけ」を「点検」? すると発表した。いよいよ国民は丸裸だ。というのは、国は「点検」と称して国民5000万件の預貯金口座(5月21日現在、口座情報の点検全5432万件)を覗けるから。「事故は想定内、そもそも出来レースだから」と霞が関の一部で囁かれている。

診察を終えた町のクリニックの会計窓口でのこと。領収書の明細に見慣れない「システム基盤整備体制充実加算」という字句。

「これって何ですか」

「マイナンバーカードの提示のない方はこの春からご負担があります」

カードがないと初診料が上がる?? 知らなかったひとが大方だろう。窓口を見回せばカウンターにタブレットのようなものが。ここに「ご本人が(カードを)かざして。パスワードを入力して・・・」と説明がある。

「どうするの」

高齢女性患者が窓口にカードを渡し?! やり方をきいている。

大丈夫か?! 頻発するカード犯罪が頭をよぎった。デジタル庁と厚労省による仕掛けは善良な国民の心のうちに立ち入った。

国は「マイナ一本化」で保険証廃止の方針というが、これだけ事故も多発すれば乱暴な施策との疑いはない。我が国の誇る国民皆保険制度も揺らぐ。そもそも保険証さえあれば、のどこが悪いのか。なぜ金融機関との「紐づけ」なのか。

はっきり言おう。

「紐づけ」で喜ぶのはだれか。例えれば国が特殊詐欺の領袖で「ルフィ」になるのか。誰が「かけ子」になるのか。かの国のように国による国民監視を堂々と法律の下にやるのか。

公の個人情報の奪取は特殊詐欺のそれに似ている。ワクチン接種もそうだが「国民の〇%が接種済」と同じ世論操作だ。こうして我彼を争うのをみて施政者は舌を出すのだ。

河野デジタル大臣! 私の身体のことは私が知っていればいい。他人に知ってほしくないのだ。私は、あなたの身体のことなど知りたくもない。あなたは私のサイフを覗くな。私はあなたのサイフもみたくないのだ。

ただいま参院審議中だ(デジタル法案)。「ルフィ」に加担する個人情報保護に緩い政党はどこか。ことは人権問題だ。メディアの監視が急がれる。

 

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