<国政選挙・もう一つの違憲状態>全国投票所の35.2%が投票時間を短縮していた事実が明らかに

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]

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介護施設に入所する90代の女性はこういった。

「私だって選挙に行きたい。でも、ここにいたら『ダメだ』って言うんですよ」

我が国の女性の選挙権行使は、第二次大戦後になって初めて実現したものである。戦前・戦中世代の高齢者女性にとって選挙権は、戦後生まれの人間には分からない「重み」があることだろう。
そんな中、12月14日に投開票のあった今回の衆院選で「原則20時まで」の投票にも関わらず、「終了時間繰り上げ」を実施した投票所が35.2%にのぼるという驚きの実態が伝えられた(毎日新聞2014.12.12)。
すなわち全国4万8621カ所の投票所のうち、実に1万7109カ所で投票時間が短縮された計算になる。

  • 地理的条件
  • 夜間は投票者が少ない
  • 期日前投票がある
  • 夜は立会人確保が難しい

・・・などを短縮の理由にしているが、1998年公職選挙法改定で終了が18時から20時になったはずの揺り戻し(2000年で法改定)が徐々に拡大していたといえよう。いわば、各地選管の運用次第で、選挙権の剥奪がなされていることが明らかになったというわけだ。

「選挙もねぇ、仕事もねぇ、おらぁこんな町イヤだ」

こんな状態で、一体なにが「地方創生」なのか。一票の格差の違憲性がはっきりしているなかで、もう一つの違憲の疑いが発生している。そういえばかつて「選挙に来ない方がいい」と、さる自民党ボスが云っていたことを思い出す。
 
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