[茂木健一郎]<渋谷区長が考えるハロウィーンの効果>イベントのゴミ回収だけでなく、イベントをきっかけにさらに渋谷をキレイに


茂木健一郎[脳科学者]

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10月31日はハロウィーンで盛り上がったようだ。いろいろな仮装をしていろいろな仮装の人と行き交うのは楽しいだろう。

問題は、ゴミ。NHKのニュースでも、ゴミ拾いをしている人たちのことが報じられていた。ハロウィーンのようなイベントの際に、ゴミが出てしまうことを、どのように考えるか。

先日、渋谷区長の長谷部健さんとお話したときに、面白いことを伺った。

「イベントでゴミが出たのを掃除するだけでなく、さらに積極的に、イベントをきっかけに街をきれいにしてしまう。」

長谷部さんは区議会議員をされていた時に、清掃活動を行うNPO法人グリーンバードを設立された。そして、街を清掃しているうちに、あることに気づかれた。

それは、イベントをきっかけに、イベントで出たゴミを拾うだけでなく、もっと街をきれいにできるということ。たとえば、セント・パトリックス・デーのパレードの時に、最後尾にコスプレをした人たちが歩いて、ゴミを拾っていったという。

すると、パレードから出てしまったゴミだけでなく、今まで気づかなかった、植え込みの中のゴミなどにも目が行って、パレード前よりもさらにきれいになったのだという。イベントで出たゴミだけでなく、イベントをきっかけに、街を見直して、イベント前からあったゴミまで回収してしまう。

この発想でいけば、ハロウィーンのお祭りで出たゴミを回収するだけでなく、ハロウィーンをきっかけに、街がハロウィーン前よりもキレイになるという積極的見方ができそうだ。

イベントをきっかけに前よりもよくなるというのは、人間関係や組織でもありそうだ。仲たがいや不祥事をきっかけに、その原因となったことを除去するだけでなく、関係性や組織のあり方を見直して、前よりもさらによくなる(いわゆる「膿を出す」)。

つまり人間の注意がそこに向いたということだろう。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。