<アメトーーク「競馬芸人」は提灯番組?>「ギャンブルのいい加減さ」を強調しなければ笑えない


高橋維新[弁護士]

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2015年11月26日放映のテレビ朝日「アメトーーク」のテーマは、競馬芸人であった。基本的には、競馬の魅力が語られる内容になっており、完全に「何かを褒める回」になっていた。

つまり、バラエティの定石から見ればあまりおもしろくなかったと言える。所々語られる競馬のうんちくには、個人的には興味深い部分もかなりあったが、バラエティ番組としては、このままで満足してはダメである。

「何かを褒める回」をおもしろくするには、実質的には何かをバカにするか、そうでなければ取材を徹底して本気のドキュメンタリーをやるしかない、というのが筆者の基本的な考えだ(http://mediagong.jp/?p=13534)。

アメトーークにおける過去の類似企画としては「ボートレース芸人」がある。この時は「ボートレースファンのダメっぷり」でエピソードで笑いもとられていた。

そして今回は競馬芸人である。同じギャンブルであるため、ファンには一定数のダメ人間が確実にいる。このダメ人間など,バカにできる対象はいくらでもあったはずである。しかし、今回はそういう形の笑いも鳴りを潜めていた。

断片的に、ゲストの重盛さと美の天然っぷりがバカにされたり、芸人たちの強すぎる競馬愛に宮迫がツッコミを入れたりという形で笑いがとられていたが、全てが部分的で中途半端であった。

かといって、本気のドキュメンタリーになっていたわけでもない。番組では競馬のおもしろいところとか、騎手や馬のすごいところとか、動くお金の額が大きいだとか、耳ざわりのいい話ばかりであったが、これでは視聴者の知的訴求には応えられない。

競馬には、レースに勝てない馬やケガをした馬がどうなるかとか、種馬の種のとり方だとか、関わっているギャンブラーの生活がどうなっているかとか、興味深い負の側面がたくさんある。ここをちゃんと取り扱わないと、良質なドキュメンタリーとは言えない。

今回の放映は、単なる競馬の提灯番組として、偏向的に競馬の良いイメージばかりを前面に出したどうしようもない代物だったと言われても文句は言えない。

ダメな回の「アメトーーク」に典型的に見られるような、ファニーもインタレスティングも中途半端な子供騙しの映像である。

ただし、今回がおもしろくなかったのはテーマを設定した番組側の責任であるため、芸人たちを強く責めることはできない。しかしながら、どんなテーマ設定でも笑いをとりにいけるのが超一流であるということは一応述べておく。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。