<北朝鮮で生存する30人の日本人>日本政府認定の拉致被害者も複数存在?その真偽と帰国の可能性


高橋秀樹[放送作家]

 

日本経済新聞が「北朝鮮が日本側に提示した北朝鮮国内に生存しているとみられる日本人30人の生存者リストに、政府が認定している複数の拉致被害者が含まれていることが9日、明らかになった」との記事を伝えると、菅官房長官は激怒し、日経幹部を官邸に呼び事実無根として猛烈な抗議をした。これまでにない反応である。

記事発表後、新聞、通信社各社はただちに後追いしたが、確認が取れない。真偽はどうなのか。

安倍政権は、消費税増税や、特定秘密保護法案、残業代ゼロ法案、そしてなによりも解釈改憲の当たる集団的自衛権の行使の強行で支持率が落ちることをあらかじめ読み込んでいた節がある。この支持率低下を一気に取り戻す大技が、拉致被害者の帰国である。

しかしこれには様々な障害がある。推論はこうだ。

まず、同盟国アメリカの反応である。日本が単独で拉致被害者帰国に絞って北朝鮮と交渉することは、北朝鮮の核問題を何とかしたいアメリカにとっては不都合である。TPPの交渉をアメリカの思惑通り進められない安倍政権は、集団的自衛権の解釈変更を強行した。これで、親米の顔は見せられる。アメリカは納得する。

かつての小泉純一郎首相のように、北朝鮮から被害者を連れ帰れば、支持率は回復する。では、これで拉致問題は解決に向けて進展するのか。

今、こんなうわさが聞こえてくる。いずれ、北朝鮮は100人規模の在北朝鮮の日本人の名を発表する。しかし、調査はそこでおしまい。北朝鮮はそこで、こう主張する。

「日本が経済制裁解除の条件とした調査を、われわれは誠実に実行した」

「だが、彼らは誰一人日本に帰りたがっていない」

トップ同士が会う、ということはすでに何らかの成果が出ることが決まっている時だけだ。安倍総理は訪朝できないかもしれない。そんな悪夢が襲ってこないようにするには、北朝鮮の外交術中に今の政権が呑み込まれないようにする以外に方策はない。

 

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