<日本は大丈夫か?>英国のEU離脱論議に見る民主主義の原則[茂木健一郎]

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茂木健一郎[脳科学者]
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EU離脱をめぐる英国の国民投票が、現地時間の6月23日(木)に行われる。残留、離脱の議論が拮抗していて、どういう結果になるか予断を許さない情勢である。
そのEU離脱をめぐる議論は、英国内で延々と続いており、EUを離脱した際の英国のメリット、デメリットや英国の将来の国家像などが論争されている。その中で、人々は自分なりの判断をして投票することになるのだろう。
EU離脱に賛成か、反対か、ということは議員のレベルで見れば、保守党、労働党などの党とは関係なく、個々人の判断になっている。たとえば保守党党首で現首相のキャメロンさんはEU残留派だが、同じ保守党で前ロンドン市長のジョンソンさんは、EU離脱派である。
EU残留か、離脱かという、国政の重大事については、

(1)十分な期間をとって、明示的な議論をする
(2)議員は所属政党に関係なく、それぞれの良心、見識に従って投票をする

という「原則」が貫かれている。これは当然のことだろう。
さて、日本の政治を見ると、憲法改正の是非がどうやら「隠れた」争点のようである。なぜ「隠れた」かというと、今回の参議院選で、表立った争点としては提出されていないからだ。
【参考】EU離脱をめぐる英国の議論に見る「日本の民主主義」の未熟さ[茂木健一郎]
さらに、事前に、改憲に積極的な政党と、消極的な政党の議員数が争点だと報じられている。しかし、そもそも憲法改正という重大事は、個々の議員の判断で決まるべきであり、政党の議員数の数合わせだけで結果が予測できるというのは、おかしな話だろう。
国政の重大事については、(1)十分な期間をとって、明示的な議論をする(2)議員は所属政党に関係なく、それぞれの良心、見識に従って投票をするということは、立場に関係なく認められるべき「原則」であるはずだ。日本の「民主主義」において、これらの原則が守られることを、心から望む。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 
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