<大阪の寿司屋が炎上>外国人への「過剰わさび」の何が問題だったのか


茂木健一郎[脳科学者]

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大阪のすし店が、外国人にだけ「過剰わさび」を出していたということで、炎上、謝罪している。このニュースについて、考えてみたいと思う。

まず、すし屋で、外国の方が「普通」よりも多くの「わさび」を要求することはしばしば見られる事象である。すし屋さんで、別皿に山のようなわさびをつけて、おいしそうに食べていらっしゃるのを何度か見かけたことがある。今回の店側の対応には、そのような背景はあることはあるのだろう。

一方で、「すし」の文化に対する外国の方の理解度が急速に深まったことは事実である。箸の使い方にしても、ネタの好みにしても、どんどん洗練されてきている。だから、外国の方だからといって、みんながみんなわさびを大量に欲しがるわけではない。

つまり、今回の店の対応でいちばんまずいのは、外国人だからといって、機会的、一律に、大量のわさびをつけてすしを提供した、という点にあると思う。よりきめ細やかな、一人ひとりのニーズに合わせた対応をしていれば、このようなことにはならなかった。

【参考】蓮舫氏の二重国籍は「過失」ではなく「故意」か?

一人ひとりに向き合うことは、実は難しい。人は、ある特定の属性にもとづいて、他人を判断しがちである。「外国人」だからと言って、大量のわさびを提供する、という機械的判断は劇画的でわかりやすいが、似たような話は、日常生活の中で、実はたくさんあるように思う。

結局、店側が結論したように、わさびを要求されたら別皿で提供するというように、「オプション」で最初から出していたら、何の問題もなかった。他人の個別性を尊重することは、「オプション」を提供することであるという、一般的な原則がそこには見て取れると思う。

 (本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。