「アメトーーク」のテーマにキンコン西野

高橋維新[弁護士/コラムニスト]
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2016年10月20日放映の「アメトーーク」(テレビ朝日)のテーマは、「スゴイんだぞ!西野さん」。言わずと知れた「嫌われ芸人」キングコング・西野亮廣だ。
今回の企画は、東野幸治の持ち込み企画ということである。東野がこれまで持ってきた企画と言えば、品川祐(品川庄司)みたいな「少しイタくて世間から嫌われている人」にツッコミを入れて笑いをとるというようなものが主であった。
今回も、タイトルこそ「スゴイんだぞ!西野さん」であるが、おそらく西野は褒められずにバカにされて終わるんだろうな、ということは予想ができた。そして、番組はその通りに推移した。
東野は、最初は西野を褒めるテイでしゃべり始めるが、表情や口調の端々に本当は西野をバカにしているというのが滲み出る。「スゴイんだぞ!西野さん」というタイトルでありながら全く賞賛してもらえないというズレがここには生じ、このズレが笑いを生む。
ここにツッコミを入れるのは、当然ながら西野の役目である。西野のツッコミは、うまいレベルにはあると思うので、東野のこのボケにツッコミが入れられることで、きちんと成立する。
【参考】キンコン西野「制作者の頑張りなど客には無関係」結果で語れ
他方、ひな壇にいる他の面々は、東野とは異なり、西野をバカにしようとする態度を隠そうともしない。それに対しては、「バカにしていることを隠してバカにしたい」立場の東野からもツッコミが入る。ここも、笑いになる。
そもそも、西野の「痛々しい」言動に対するひな壇の面々からの指摘は西野のズレに対するツッコミでもあるので、これも笑いを生むのであるが、単純にそのような構造にはなっていないのである。
タイトルを「スゴイんだぞ!西野さん」にして、本来の目的を隠すというひねりが加わっているので、そのひとひねりが前述のような別の笑いを生むギミックになっているのである。
「表向きに喧伝されている企画趣旨が全然達成されない」「それがズレになって笑いを生む」というのは、「めちゃイケ」などでもよく見られるドキュメンタリーコントの構造である。「アメトーーク」では、同じく東野の持ち込み企画であるが、ブラマヨ吉田を取り扱った回などにもこの構造は見られた。
それにしても西野は、番組でおそらくこういう扱いを受けるのは分かっていたと思われるが、それでも出てきたのはどういうつもりなんだろうか。品川みたいに、自分が嫌われていることを自虐する路線で売り出す覚悟ができたということなのだろうか。
ただ、その線での露出が品川ほどあるわけではないので、そうだとは思えない。そういうブレている感じが、痛々しさの元になっている気はする。
ひな壇の博多大吉(博多華丸・大吉)が「テレビに出ることをあまり重要視していなさそうな割にタモリさんみたいなビッグネームの言うことは聞く」といったような趣旨の発言をしていたが、それもこのブレている感じを指摘するものではないだろうか。
この大吉の発言に対しては、東野が「今日は芯食った発言はやめてください」と言っていたが、それは恐らく(東野が考える)本質を突いているからだろう。そして、東野が大吉にストップをかけたのは、この本質が暴かれると笑えるレベルに止まらなくなってしまう(そのうえ、西野の問題に関して結論が出てしまうので番組がそこで終わってしまう)からではないだろうか。
 
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