メディアを右翼か左翼かの二項対立で見ようとするネット民の愚かさ


保科省吾[コラムニスト]

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ものごとを二項対立で考えるのは、あまりにも単純化のしすぎで、誤りであることが多い。まず、二項対立の語義を調べてみると、次のようにある。

「二項対立(dichotomy、binary opposition)とは論理学用語の一つ。二つの概念が存在しており、それらが互いに矛盾や対立をしているような様のことを言う。陸と海、子供と大人、彼らと我々、臆病者と英雄、男らしさと女らしさ、既婚者と独身者、白と黒、運動と静止、明と暗のように、相対立する一対の概念(出典:Wikipedia)」

Wikipediaではなんなので、もうひとつ調べる。

「《dichotomy》論理学で、二つの概念が矛盾または対立の関係にあること。また、概念をそのように二分すること。内側と外側、男と女、主体と客体、西洋と非西洋など。二分法。(出典:デジタル大辞泉)」

Wikipedia全体を、ウソかホントかの二項対立で検証するのは、無駄な作業であり、Wikipediaには、ウソもホントもあることは、今や多くの人が周知するところである。

【参考】<メディアへの圧力>政府と保守系メディアが国連特別報告者をバッシング

よって、二項対立で厳密な分離をするのは誤りである。立場立場、時代時代、場所場所、テーマテーマで二項の対立は違うからである。二項対立には分かりやすさという利点がある一方で、この考え方は自動的に間違いを内包してしまう。

二項対立と言う二分法においては、世の中の大抵の概念や、出来事や、現象が、グラデーションで出来ていることを考えると、その線引きがまた難しい。

正と邪、善と悪がグラデーションで出来ていることに反対を唱える人は少ないだろう、考えれば直ぐ分かる。現代科学では、男と女という二項対立の見本のような概念だって、明確には区別できないことも分かっている。すべてがグラデーションなのだ。

ところが一部のネット民にはバカで単純で、物事を考えることが嫌な人が少なくない。彼らによれば、メディアは右翼左翼の二項対立で分類できるらしい。朝日新聞や毎日新聞はいつでも左翼であり、読売新聞や産経新聞は常に右翼であるという決め付ける。もちろん、こんなことは間違いだ。

テレビ局でもTBSとテレビ朝日の論調と、フジテレビと日本テレビの論調を常に対立させる。当然、こんなことも間違いであることは言うまでもない。メディアのあり方は、そんなに単純ではない。

筆者は「心情右翼の現実左翼」の立場であるが、その観点から、左翼と言われる朝日新聞と、企業の御用新聞と言われる日経新聞を毎日監視しているが、40年間の監視の結果、右翼左翼ときっちり分けられるような新聞ではないという判断である。両紙の監視は今後も続ける予定である。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。