「オール沖縄」は翁長雄志氏後援会ではないはず -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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沖縄、滋賀、鹿児島、新潟の県知事選は「政策選択選挙」となった。この結果、安倍暴政にブレーキをかけることに成功した。安倍暴政にブレーキをかける最善、最強の方策は、「政策選択選挙」を実現することだ、沖縄では辺野古米軍基地建設の是非が最大争点になった。

沖縄県民は辺野古米軍基地建設=NOの意思を選挙で表示した。滋賀、鹿児島、新潟の県民は、原発稼働=NOの意思を表示した。

主権者にとって大事なのは「政策」だ。その「政策」を「争点」にして選挙戦を闘う。このことによって安倍暴政にブレーキをかけることが必ずできる。主権者が選挙で政策を選択したら、選ばれた為政者は、主権者との約束、契約を誠実に実行しなければならない。

このプロセスが成立して初めて「政策選択選挙」が有効に効果を発揮する。沖縄では2014年11月の知事選で、沖縄県民が「辺野古米軍基地建設=NO」の意思を明示した。選出された翁長雄志知事は、「辺野古に基地を造らせない」という公約を必ず実現しなければならない。ところが、この公約は、これまでのところ実現していない。

翁長氏は「あらゆる手法を駆使して辺野古に基地を造らせない」と言ってはいるが、現実には、辺野古米軍基地建設が着実に進行している。最大のポイントは2015年夏に沖縄県が辺野古米軍基地建設本体工事着工に必要な「事前協議書」を受理したことにある。これがなければ国は辺野古米軍基地建設の本体工事に着工することはできなかった。

翁長知事は知事就任後、直ちに埋立承認の取消を実行し、法廷闘争で国に敗訴したなら、直ちに埋立承認の撤回に進むべきだった。この行動を迅速、果敢に実行していれば、辺野古米軍基地建設は確実に止めることができてきたはずである。

逆に言えば、翁長知事のこれまでの行動は、国による辺野古米軍基地建設を実質的に側面支援するものになっている。沖縄県は辺野古米軍基地建設の本体工事に必要な事前協議書を受理する前に、埋立承認を取り消し、法廷闘争で敗訴したなら、直ちに埋立承認の撤回に進むべきだった。

国はいよいよ、辺野古の埋立工事に着手しようとしている。埋立が始まってしまうと、辺野古の海は破壊される。破壊された海は、もう元には戻らなくなる。まさに辺野古はいま、瀬戸際に立たされている。

ところが、この期に及んで、翁長知事は、なお、埋立承認の撤回に進まない。「県民投票」などというピンボケの話が浮上しているが、2014年11月の知事選結果をもって、知事による埋立承認撤回が法的に可能であることを、翁長知事自身が何度も公言してきている。翁長雄志氏は直ちに埋立承認の撤回に進むべきだ。

そして、「辺野古に基地を造らせない」為の沖縄連帯運動である「オール沖縄」は翁長氏に即時の埋立撤回断行を強く迫るべきだ。「オール沖縄」は「辺野古に基地を造らせないための連帯運動」であって、「翁長氏後援会」ではない。

この原点を見失うなら、翁長氏の再選の可能性は消滅するだろう。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。