<沖縄の事実>基地移転問題の対立を「沖縄県民 対 日本政府」と表記したTBS「サンデーモーニング」

政治経済

保科省吾[コラムニスト]
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朝日新聞チックな報道ではあるが、決して、TBS報道局の見解からはみ出すことのない「サンデーモーニング」(11月22日放送)を見ていてちょっとドキッとした。
世の中の流れをコメンテーターと考える「風を読む」のコーナーである。
普天間基地の辺野古移転に断固反対する翁長雄志(63)那覇市長(支持:日本共産党・生活の党・社会民主党・沖縄社会大衆党)が36万820票を獲得、現職知事で辺野古移設容認の仲井眞弘多(75)(推薦:自由民主党)に10万票以上の差をつけて大勝した沖縄知事選。この36万票は全得票数のおよそ52%であり、沖縄県民の半数以上は基地の辺野古移設に反対の意志を表明したのである。
以上が事実である。
今回の「風を読む」の企画意図は、いつも基地依存経済と基地問題の間で揺れていた沖縄県民の意識が、今回は大きく米軍基地反対に動いたことをどう読むかということであろう。ほかでもない。その説明VTRの中でのテロップが、対立するように左右に配置され「沖縄県民」と「日本政府」になっていたのである。
まさしくその通り、36万票は「沖縄県民」対「日本政府」と言う形を生起させたことにほかならない、と筆者は思う。
しかし、ここで立ち止まって考える。
たとえば、事故後の福島島第一原発を巡る対立を表現するときに「福島県民」対「日本政府」という表記は決してしないだろう。表記するなら「福島県民」対「安倍政権」である。
スタジオでは寺島実郎氏(多摩大学学長・日本総合研究所理事長)が「琉球」という言葉を使って沖縄が琉球国になる可能性を指摘した。
それも。その通りである。
テロップ表記が「琉球政府」対「日本政府」になることを望んでいる人は、まだ少なそうだが(確かに存在はするものの)、このことを「沖縄県民」を含む「日本国民」は、しっかりと肝に銘じておかねばならない。
 
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