蓮舫は保身でなく民進党を創造的破壊すべきだ -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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民進党の蓮舫代表が7月25日に開催予定の両院議員懇談会で幹事長交代などの執行部刷新の方針を表明する見通しであると報道されている。野田佳彦幹事長を交代させ、蓮舫代表自身は続投しようというスタンスである。しかし、これでは問題の解決にならない。民進党凋落の原因に光を当てていないからである。

蓮舫代表は蓮舫代表自身に主権者の信頼・支持を得る力が不足していることを認識できていない。ものごとの本質を見抜く力なくして民進党の再生はあり得ない。蓮舫民進党が主権者の支持を完全に失っている原因のうち、重大なものを以下に三つ挙げる。

第一は、蓮舫氏の発言に「夢と希望」が感じられないことだ。言い換えれば「陽の気」が完全に欠落している。「陰の気」が支配しており、これが主権者の支持を完全に離散させている。

第二は、民主党崩壊の主犯である野田佳彦氏を幹事長に据えたことだ。民主党が凋落し、党勢を失い続けている最大の責任者は野田佳彦氏である。野田佳彦氏を幹事長に起用したところで、実は蓮舫民進党はすでに終わっているのだ。その通りの選挙結果が表れている。

民進党のさらなる凋落は、蓮舫氏の野田氏幹事長任命に大きな原因がある。これは野田佳彦氏の責任ではなく、蓮舫氏の責任である。その結果として民進党が凋落しているのだから、責任を取るべきは蓮舫氏自身であって野田氏ではない。

蓮舫氏が野田氏を幹事長に起用したのは、蓮舫代表が野田氏の傀儡(かいらい)だからである。表が蓮舫氏、裏が野田氏というのが実態であり、どちらか一方の交代で問題が解決するものでない。

 

第三は民進党の基本政策が曖昧であることだ。これは致命的なものである。主権者が民進党を支持するかしないか。その判断の根幹は、民進党の基本政策にある。

ところが、その基本政策があいまいなのである。これで主権者に民進党を支持しろと言っても無理だ。原発・戦争法・格差拡大について、民進党はどのような基本政策を示すのか。これが大事なのだ。

共産党との選挙協力について民進党内で意見対立がある。その原因は、基本政策路線の対立なのだ。原発廃止、戦争法廃止、格差是正を基本政策とするなら、共産党との連携、選挙協力に問題は生じない。この基本政策に反対する者が共産党との連携、選挙協力に反対しているのである。

基本政策があいまいであることは致命的で、これが民進党に対する主権者の信頼、支持を完全に遠ざけている。したがって、民進党は分離・分割するしか道はない。蓮舫氏が代表として果たすべき役割は、この本質に光を当てることだ。

蓮舫代表、野田佳彦幹事長の辞任を表明し、同時に、政策を基軸に党の分割・分離を提言するべきなのである。蓮舫氏に現実を洞察する力があるなら、この判断を示すのが正当であり、そのように行動するだろう。

しかし、蓮舫氏がこの判断を示すことは難しい。なぜなら、蓮舫氏もまた「自分ファースト」だからである。「何かをしたい」ために代表就任を目指したのではなく、「役に就く」、「ポストを得たい」ためだけに代表就任を目指したのだと思われる。

「二重国籍」問題での対処でも、問題を差別問題にすり替えたとの批判があるが、この指摘には正鵠を射た部分がある。昨年秋の段階で、二重国籍状態が続いてきたことを確認したのなら、率直にその事実を認めて、自分の非を自分の非として表明するべきであった。

日本の現行制度下においては「二重国籍」問題は広く一般に発生し得る問題である。二重国籍の解消には「努力義務」が課せられているが、「二重国籍」であること自体が罰則の対象にはならない。事実を正確に、ウソ偽りなく主権者に説明し、自分に非のあった部分については真摯に謝罪する。この誠実な姿勢こそ、政治家に求められる最重要の行動である。

残念ながら蓮舫氏のこれまでの言動は、つじつまの合わない自己正当化が前面に出て、真実を率直に語り、非を非として認めるという、一番大事な部分が欠落していいた。

この問題は、安倍晋三首相、稲田朋美防衛相、山本幸三地方創生相が主権者の強い批判を浴びている主因なのである。

同じ問題を抱えた蓮舫氏が安倍自民党を追及し、退陣に追い込むことは不可能なのである。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。