「シャンシャン会見」の常態化はメディアの自殺行為


上出義樹[フリーランス記者/上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ]

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<鋭い質問せずお行儀の良い日本の記者たち>

菅義偉官房長官の毎朝夕の会見に今年6月、彗星のごとく現れ、鋭い質問を連発してそれまで10分程度で終わっていた会見の空気を一変させた東京新聞社会部の望月衣塑子(いそこ)記者らをパネラーとする世界人権デーの集会が12月14日、千代田区の専修大学で開かれた。

望月記者は、初体験した同長官会見を自著で「シャンシャン会見」と、なかなかうまい表現をしている。フリー記者として現在私が参加するいくつかの閣僚会見も、厳しい質問が少ない「シャンシャン会見」ばかり。

【参考】政治記者が明かす官房長官会見の「質問封じ」

そんなお行儀の良い記者会見の常態化は、閣僚会見などがネット中継されることも多い中で、メディアにとって、読者・視聴者の不信を増殖する自殺行為にも等しい。

<官房長官会見の馴れ合いムードに風穴を開けた望月記者>

「今問われるメディアの独立と報道の自由」とタイトルが付いた14日の集会は、首相官邸や保守系メディア、ネット右翼などからさまざまな圧力や嫌がらせ受けている望月記者を、彼女に共感する市民や記者仲間らで励まそうという企画でもある。

同記者は当初、加計問題を中心に1日最高23問の質問をぶつけ、他社の反発を買ったこともあったが、同長官と記者クラブが馴れ合う「シャンシャン会見」に風穴を開けた意義は大きい。ただ、現在は同長官からなかなか指名されない「質問封じ」状態が続いている。

<権力による「質問封じ」にも危機感薄いマスコミ>

一方、私が参加する外務、経産、総務の3閣僚の定例会見は、2〜3年前までは自由に質問できたのに、現在は質問の事前通告が必要で、とくにフリー記者には厳しい。こうした権力による「質問封じ」の問題は10月30日付の拙稿でも取り上げているが、マスコミの記者たちには驚くほど危機感が薄い。

 

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上出義樹

(かみで・よしき)北海道新聞社でシンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ