2017年は政治もメディアもイエスマンが跋扈(ばっこ)


上出義樹[フリーランス記者/上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ]

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2017年の最後に、この1年を自分なりにざっくりと振り返ってみたい。拙稿を読み直してあらためて感じるのは、政治でもメディアの世界でも、「イエスマン」が以前にも増して跋扈(ばっこ)、つまり、はびこっていることである。

<身勝手なトランプ大統領に皮肉も言えない安倍首相や閣僚>

「米国第一」を掲げ、人権や民主主義、環境保護などに平気で背を向けて世界を振り回す身勝手で横暴なトランプ大統領に対し、私の知る限り、安倍晋三首相や閣僚らから、欧州の政府首脳が語るような批判を全く聞いたことがない。

なぜ皮肉の一つも発信できないのか。親分と子分の関係でもある日米安保条約の本質そのままに、まさに「対米従属」としか言いようがない異常な気の使い方だ。
 
<人命軽視の米軍ヘリ運行再開を徹底追及したのは結局、沖縄の地元紙>

一方、日本のメディアは、トランプ氏の理不尽な言動にはケースバイケースで批判もするが、米政府にノーと言えない安倍政権に真正面から切り込む報道は少ない。

【参考】御用報道機関に堕落した「公共放送NHK」

例えば、沖縄の普天間基地周辺にある小学校で12月13日、子どもたちが体育の授業をしていた校庭に米軍ヘリの窓枠が落下した。子たちの命が奪われたかもしれない重大事故にもかかわらず、わずか6日後に米軍ヘリの運行が再開。

日本政府はそれを容認したが、人命軽視の無責任な日米両政府の対応を徹底的に追及した新聞は、沖縄の地元紙だけ。それなりに厳しい批判を展開した全国紙もあったが、その場限りの報道で終わってしまった。

一方、トランプ政治の危うさについては、読売や朝日がそれぞれ12月下旬の社説で取り上げている。しかし、読売はトランプ氏に従順な安倍首相を一言も批判せず、朝日は、「日本の役割」として、米国に「国際協調の今日的な意義をしっかりと強く説くこと」などと書いてはいるが、いかにも付け足しのような型どおりの言葉で、読者の心には響かない。

<望月衣塑子さんのような勇気ある記者も登場>

残念ながらこの1年は結局、流行語大賞にも選ばれた「忖度」が、首相官邸の「ご意向」を気にかける官僚たちや保守系メディアを中心に跋扈。私が参加する閣僚会見なども相変わらずお行儀の良い質問がほとんどだった。

このように政界もメディアも「イエスマン」だらけの中で、菅義偉官房長官の会見に今年6月から参戦し、官邸や記者クラブの反発を受けながら、鋭い質問をぶつけている東京新聞社会部の月衣塑子(いそこ)さんのような勇気ある記者が登場したことも付け加えておきたい。

 

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上出義樹

(かみで・よしき)北海道新聞社でシンガポール特派員、編集委員などを担当。現在フリーランス記者。上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ