<見本市的な国際展のありかたに一石>ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451度の芸術世界の中心には忘却の海がある」


齋藤祐子[文化施設勤務]

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ヨコハマトリエンナーレ2014『華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある』—— 初日に駆け足でみただけで、もう一度ゆっくり廻ろうと思いながら、まだ果たせずにいる。

夏の酷暑の時期に2会場を廻るのはつらいところもあるが、そろそろ涼しくなったころ合いなのでご紹介をする。難解なテーマで、はたしてどうなるかと思われた展覧会だったが、そこは評論家やキューレターと異なり、実作者・美術作家の設定したテーマだからなのか、地に足の着いたなるほどと思わせるものだった。

アーティスティックディレクターの森村泰昌氏の解説のテープはまだ聞いていないが、こちらも美術に詳しい、詳しくないにかかわらずとても評判がいいようだ。会場でみかけたら、ぜひ解説も聞いていただきたい。

出品作家発表のころには、物故者の名前もあって、トリエンナーレは、現代美術の見本市のようなものだから、さてどうするのかと思っていた。たとえば松本俊介だが、松本俊介の作品でどうするのかと思ったが、ふたをあけてみたら、家族にあてた終戦直後の手紙だった。

テーマ性がきちんと納得でき、かつ個々の作品自体も面白いという稀有な展覧会になったかと思う。見本市的な、よくいえば旬の作品、悪く言えばこれみよがしのところがなく、テーマに沿った静かな作品が多い。だから、派手さがなく真面目すぎるように見えることもあろう。

が、決して難解ではなくおそらく現代美術を知らなくても、子どもでも(むしろ子どものほうが、鋭く本質を捉えるだろうから)自分の、そのときの知識で理解し、何かを感じるに違いない。ディレクターの手腕だろう。結果的に、見本市的な国際展のありかたにも一石を投じたようなテーマ設定だと思う。

美術を口で説明するのはなかなか難しい。関心を持った方は、実際の会場の内容として、下記を参照。(齋藤祐子[文化施設勤務])

[参考]http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/tag/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E7%AB%A3%E4%BB%8B

 

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齋藤祐子

齋藤祐子(さいとう・ゆうこ) 1984年、筑波大学卒。現在、文化施設に勤務。文化政策や現代美術、落語等の分野に関心が深い。