安倍内閣総辞職が不可欠である三つの理由 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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日本の主権者国民は安倍内閣の退場を求めるべきだ。理由は三つある。第一は、安倍内閣が人の道を踏み外していること。第二は、安倍内閣が権力中枢による重大犯罪に手を染めたこと。第三は、安倍内閣の政策によって国民生活が一段と圧迫されていることである。

安倍首相夫妻は籠池泰典氏夫妻と昵懇の関係にあった。安倍昭恵氏は森友学園で3度の講演を行っている。

森友学園傘下の塚本幼稚園では、運動会で園児に「安倍首相ガンバレ!」、「安保法制国会通過良かったです!」などと声を上げさせ、教育勅語を暗唱させるなど、極めて歪んだ教育を行っていた。

その塚本幼稚園の教育現場を目にした安倍昭恵氏は感涙にむせんだと伝えられてきた。安倍首相自身も国会答弁で、「妻からこの学校の先生方の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と森友学園を絶賛していた。

また、籠池泰典氏についても、「いわば、私の考え方に非常に共鳴している方」と肯定的に表現していたのである。ところが、国が森友学園に対して、時価10億円相当の国有地を実質200万円という激安値で払い下げた事実が明らかになるに連れて、手のひらを返す対応を示した。

籠池泰典氏に対する評価が「しつこい人」に激変し、挙句の果てには、まだ裁判で罪が確定したわけでもないのに「詐欺を働くような人」と表現するに至った。

刑が確定するまでは無罪を推定しなければならないのが刑事司法の鉄則である。行政のトップであるにもかかわらず、刑事司法の基本の基本さえ知らないという失態であった。

安倍首相は昵懇にしていた籠池泰典氏夫妻の存在が自分に都合が悪くなると手のひらを返す対応を示し、国家権力を濫用して籠池氏夫妻を犯罪者に仕立て上げて、逮捕、起訴し、8ヵ月以上にわたる勾留を続けさせている。

逃亡の恐れも罪証隠滅の恐れもない。接見交通権までも奪い、完全なる口封じを行っている状況は北朝鮮も顔負けと言わざるを得ない。安倍内閣が退場するべき第二の理由は、この内閣が重大犯罪の実行者であるからだ。

国有財産を適正な対価なくして譲渡することは財政法第9条に違反する違法行為であり、国に損害を与えたのであれば、刑法の背任罪に該当する可能性が高い。刑罰は5年以下の懲役または50万円以下の罰金である。

民主主義の根幹を支える国民共有の資産である決裁公文書を改ざんして、新たに虚偽の公文書を作成することは刑法の虚偽公文書作成罪に該当する。1年以上10年以下の懲役刑が定められている重大犯罪である。

さらに財務省は虚偽の公文書を国会に提出して、1年以上にわたり、国権の最高機関である国会の業務を妨害し続けてきた。これは刑法が定める偽計業務妨害罪に該当するものであり、刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金である。

このような重大犯罪を実行した犯罪者集団の最高責任者が安倍内閣なのである。

麻生首相は「森友の方がTPP11よりも重大だと考えているのが日本の政治のレベル。政治部ならまだしも経済部もこれかと、さんざん、おちょくり倒した記憶ありますけど」などと国会で答弁したが、言語道断、前代未聞、空前絶後の国家犯罪の責任者であるという自覚が皆無であるということが分かる。

安倍内閣が退場するべき第三の理由は、この内閣の政策が国民の生活を破壊していることである。

アベノミクスという言葉のマジックで、安倍内閣の経済政策が成功しているかのような印象が流布されているが、安倍内閣の政策運営で国民生活は明らかに悪化している。

実質経済成長率の平均値は、あのパットしなかった民主党政権時代でも+1.8%だった。ところが、第2次安倍内閣発足後の実質GDP成長率は+1.5%である。

あの民主党政権時代よりも経済成長の実績が下なのである。国民にとって何よりも大事な経済指標は実質賃金の変化だが、あの民主党政権時代でも横ばい推移だった実質賃金指数が、第2次安倍内閣発足後に約5%も減少したのである。

史上最悪の経済運営パフォーマンスであると言わざるを得ない。TPP推進で日本の農業が破壊される。食の安全、地産地消、食糧自給がすべて崩壊する方向に向けられている。

労働市場の規制撤廃も、目的はただひとつ。大資本の労働コストを圧縮することだけが目的なのである。安倍内閣の経済政策は「国民の生活が第一」の真逆の方向を目指しており、「国民の生活が台無し」の結果を招いている。

このような安倍内閣には直ちに退場してもらうことが必要である。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。