<インタビューの本質>無人島に1つだけ持ってゆくとすれば?の質問に三浦友和は「山口百恵」と答えた


高橋秀樹[放送作家]
2014年5月31日

 

インタビューは、英語表記にするとinterviewである。 「インター(inter)」は、「互いに」、「ビュー(view)」は「見る」事だから、面談のことであり、電話インタビューというのは正確に言うと語義矛盾である。

僕はこのインタビューを取材ととらえたときに違う解釈をしてみたい。 「インター(inter)」は、「内面を」、「ビュー(view)」は「覗く」事であり、ということは取材対象人物の内面を見ることのできなかった場合は、「インタービュー」は失敗だったと判断しなければならないのである。

僥倖に恵まれて、事件当事者のインタビューができたとする。その際、映像はずっとしゃべっている人の顔であるべきだ。内面は眼に出てくる。だからしゃべっている映像にインサートをかけてつぶしたりするディレクターが居るが最悪である。眼が見えないと気持ちも見えてこない。

インタビューが上手に編集できるかどうかは、いいディレクターと悪いディレクターの分かれ目である。話をうまく編集できないのは、話の本質がどこにあるかわかっていないからだ。さらに、そういう悪いディレクターはインタビュー中に自分が次に何を質問しようかばかり考えている。

つまり話を聞いていない。一方いいディレクターは、話を聞きながら「ここは使える」「ここは使えない」と瞬時に判断している。だからインタビューは短い時間ですむ。延々と話を聞くと対象者を飽きさせ、結果、いい話が取れなくなる。後で、収録を見直していい話のところを探そう、などというのはとんでもない話だ。

『ぴったし☆カンカン』(1975年〜1986年)という番組で、三浦友和さんの事前インタビューをしたことがある。今、放送している「ぴったんこカンカン」とはまったく別物の番組だと思ってもらいたい。有名人の人生や体験をクイズ形式にして楽しむトーク番組だ。

番組には取材用に70ページに及ぶ質問集があった。1頁めには、当時もう陳腐になっていた「無人島に何かひとつ持っていくなら何を持っていくか」という質問が書いてあった。

僕は、

「ええと、無人島に何かひとつ持っていくなら何を持っていくかという質問なんですが」

ときりだした。すると、三浦さんは一瞬、躊躇した表情を見せてから、こうおっしゃった。

「山口百恵です」

ドキッとした。瞬間、僕はこう言った。

「今の話、必ず使いますけど、使ってもいいですか」

三浦さんはキッパリ答えた。

「いいですよ」

この取材は三浦さんが百恵さんと結婚してまだ間のないころ行われた。そのせいか取材にはマネジャーやお付の人が5人ほども同席していた。今、三浦さんの言質を取っておかなければ、後で許可を求めたりしたら、このすばらしい話がつぶされかねない。三浦さんがその場で承諾したことで、他の人は異議を唱えることができなくなった。

本番で、久米宏が三浦友和さんを迎えて出題した。

「問題です。三浦さんに無人島に何かひとつ持っていくなら、何を持っていくかという質問をしたところ、三浦さんは次のように答えました。いったいなんと答えたのでしょう。正解はこちら」

客席に向けて答えの書いてある捲りが表示される。 「ぎゃアー」という悲鳴のような大歓声が巻き起こった。勝った。 芸能人が人生を切り売りするひな壇トークでは、事務所宛に質問項目が書いてあるアンケート用紙が送付される。たいていの芸能人はこのアンケートを記入するのに飽き飽きしている。

毎回紋切り型の質問が送られてくるうえに、これら質問に面白く答えようとすれば記入するのに多くの時間を要する。 「いやなら、もうそういう番組には出なければいいのに」とも、僕は思う。

 

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