視聴率22.0%「半沢直樹」に2つの弱点

高橋秀樹[放送作家/発達障害研究者]

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TBS『半沢直樹』シーズン2を見て、「ああ懐かしいなあ」と思った。7年ぶりに帰ってきたからではない。ストーリーの転換点になる重要な出来事が「時間外取引」だったからだ。「時間外取引」と言えば、かつて、ホリエモンこと堀江貴文氏が社長を努めていたライブドア社がニッポン放送株を買った時のスキームである。

筆者はこの頃(2005年)『みのもんたの朝ズバッ!』の構成をしていたが、全く知らない株のことを必死で勉強したことを思い出した。通常、経済ニュースが視聴率の取れるコンテンツになることは滅多にないが、このライブドア関連ニュースは視聴率を取ると思ったからだ。何しろ登場する企業がフジテレビという芸能企業。大金がからむし、そもそも登場人物・堀江貴文のキャラが良い。案の定視聴率は良く、連続してこのネタをやり続けることになった。

さて、ドラマ『半沢直樹』シーズン2はどうだったか。

(以下、公式HPを要約)東京中央銀行のバンカー半沢直樹(堺雅人)は、大和田常務(香川照之)の不正を暴き糾弾したこで、中野渡頭取(北大路欣也)から、子会社である東京セントラル証券へ飛ばされ、営業企画部長となった。その東京セントラル証券に大型買収案件が舞い込む。プロパー社員・森山雅弘(賀来賢人)が担当する大手IT企業「電脳雑伎集団」が、瀬名洋介(尾上松也)率いるIT業界の雄「東京スパイラル」を買収したいと申し出て来たのだ。買収における株式取得にかかる費用はおよそ1500億円以上。東京セントラル証券にとって、かつてない規模の案件だった。大規模買収に沸き立つセントラル証券。半沢潰しを目論む親会社証券営業部長・伊佐山泰二(市川猿之助)。その時、突如電脳雑伎集団からアドバイザー契約を一方的に断ち切られてしまう。その理由は?(以上、公式HPを要約)

・・・というお話なのだが、ここに「時間外取引」が登場する。「時間外取引」とは、証券取引所が開いていない、通常の立会時間ではない時間帯に株式売買を行うことだが、ドラマの中でもきちんとCGを使って説明してくれているので分かりやすい。「時間外取引」では、株を売った奴が誰か、資金を提供したのが誰かがポイントになるが、これは是非見て確認して欲しい。

今後も、株式の話になると思うが、ホワイトナイトとか、プロキシファイトとか、新株予約権とか、グリーンメーラーとか、「ライブドア事件」を彷彿とさせるキーワードが色々出てくると思うと楽しみだ。もちろん時代に合った仮想通貨とかそういうのも加味されると思う。さらに、会社は株主のものなのか、社員のものなのか、それとも社会のものでもなければならないかなどにも話を広げてくださると見る楽しみが増えそうだ。

[参考]NHKドラマ『炎上弁護人』が描いたネットのリアルとは?

さて、初回視聴率22.0%で超好発進した『半沢直樹』に関して、感じた2つの弱点を記しておきたいと思う。

世代別視聴率は、おしなべて強いが、男性、女性の50代以上で突出して高いこと。話の展開が株の話に傾いていくと若い人の視聴率が下がるかも知れない、筆者のようなオヤジは見るだろうが。思い起こせば、ライブドア関連のニュースでも脇役の脇役ではあるが、ライブドア社の広報担当者としてホリエモンに常に寄り添っていた乙部綾子さんの存在が女性から興味を惹きつけていたように思う。

もうひとつは、番組のウリでもある「顔芸」である。主演の堺雅人さんは、安住アナとのトーク番組の中で「この役は演技の自由度が低い」という趣旨のことを発言していた。これが長い間、『半沢直樹』をやらなかったことの理由のひとつかとも推測する。歌舞伎役者の起用も多く、やり過ぎると、大人は飽きる。本来の歌舞伎を見に行っても、ああいう見得のような形より、軽い芝居の方が今は流行中である。

ところで、堺雅人さんと同じ事務所、田辺エージェンシーの夏目三久さんが、東京中央銀行のイメージキャラクターなのは、ご愛敬。

 

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