ホロコースト五輪強行ゲシュタポ菅内閣 -植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]

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東京オリパラの開閉会式演出の最高責任者であった小林賢太郎氏が解任された。小林氏は過去に制作したコントのなかで「「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」をやろうって言ったとき」と表現していた。

コントは現時点まで閲覧可能なもの。これまでにこのコントについて、撤回、謝罪、贖罪は行われていない。東京五輪開会式演出は小林賢太郎氏が総括責任者として制作したもの。小林氏の過去の発言を問題視する指摘があり、ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が「どんなに創造的であっても、ナチスの虐殺の犠牲者をあざける権利は誰にもない」との声明を発表した。

こうした動きを受けて五輪組織委が小林氏を解任した。事態を受けて組織委理事が臨時の協議を行った。協議では、小林氏が開会式の演出全体を統括しており、小林氏が統括したままの演出で開会式を行えば、世界中に小林氏の発言を認めたと取られてしまうとの認識が示された。

結論として、小林氏が演出に一切関わってない開会式にするために、

1.開会式を中止する、

2.各国・地域の選手入場行進、聖火点火、開会宣言だけのシンプルなものにする

のいずれかにするべきことが全会一致で決定された。この決定内容が組織委の武藤敏郎事務総長に伝えられた。

ところが、組織委執行部は「小林氏が具体的に1人で演出を手掛けている個別の部分はなかった」として、演出を変えずに開会式を強行する方針を示した。驚くべき組織委。

組織委の理事は、「森さんから橋本さんに、会長が代わってからも結局、幹部数人で決定する体質はほとんど変わらなかった」と指摘している。演出を統括している最高責任者が「具体的に1人で演出を手掛けている個別の部分」がないのは当然のこと。仮に小林氏が演出に一切関与していなかったとするなら、これまでの役職に伴う報酬の全額返済を求めるべきだ。小林氏が統括した演出をそのまま使うことは、小林氏の開会式関与を認めること。

東京五輪は「東京ホロコースト五輪」に転じる。いまからで遅くない。開会式のすべての演出を取りやめるべきだ。この程度の判断もできないなら、橋本聖子組織委委員長は即時辞任するべきだ。すべての判断の誤りの責任は武藤敏郎氏にある。武藤氏は財務省(大蔵省)事務次官の職にあったことを背景に事務総長に就任した。

財務省が霞ヶ関官庁の冠たる地位にあるとの認識に基づく人事だが、財務省そのものが堕落し、もはや行政能力を代表する組織でなくなっている。公文書改ざん、情報隠蔽、責任回避という「日本の恥」を象徴する行政組織が財務省。その財務省事務責任者を務めた人物が事務総長の職位に就いた五輪組織委が機能不全に陥っているのは当然の帰結。米国NBCが五輪開会式を生放送する予定になっているから開会式プログラムの変更ができないとの「解説」もある。

これこそ、五輪が利権の五輪であることを告白する解説だ。組織委理事は、開会式式典の変更について国際オリンピック委員会(IOC)総会での承認が必要だという規約を理解した上で、「シンプルな開会式にすると、時間が大幅に短くなるかもしれない。特に高額な放映権料を払っている米NBCからはクレームがあるかもしれないが、今回の問題の重要さを考えたら変更もやむなしの理解されるのではないか」と述べたと報じられている。

世界に日本の恥をさらす「東京汚リンピック」。これ以上失態を重ねぬため、早期に中止の判断を下すべきである。

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