<胃がんの先進医療>後遺症の残りづらい「部分切除」が慶応病院でスタート


松井宏夫[医療ジャーナリスト]

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がん死亡者数の多さでは肺がんがトップ。だが、がんに罹患する人の数は胃がんがトップである。そして、胃がんと診断された人の70%が早期がん。そうなると、身体にやさしい治療を望むのが現代の患者である。超早期であれば内視鏡での治療なので身体の皮膚にメスを入れることなく胃がんを切除できる。

では、もう一歩進むと、どうなるのか。

胃を3分の2切除し、リンパ節もしっかり切除する。手術自体に問題はないが、胃を切除してしまうので後遺症が出てしまう。早期に発見できたにも関わらず、その恩恵に預かれない。

それをきちっと恩恵を得られるようにする臨床試験が慶應義塾大学病院で、今年から先進医療としてスタートした。

腹腔鏡手術で胃のセンチネルリンパ節診断(がんが最初に転移するリンパ節をとって、がんが達しているか否かを確認する方法)をし、そこにがんが達していなければ胃の縮小手術となる。まさに部分切除である。

将来的には内視鏡での切除も可能になるかもしれない。この研究は1999年にスタートして14年にここまで進んだ。生死のかかる研究は長い年月を必要とする。患者のための治療は一朝一夕にはいかない。が、それは着実に前進している。

 

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松井宏夫(まつい・ひろお) 医学ジャーナリスト 1951年 富山県生まれ。中央大学卒。日本ドキュメントフィルム助監督、『週刊サンケイ』を経てフリーに。最先端医療やがん医療を精力的に取材。名医本のパイオニア。日本医学ジャーナリスト協会幹事、東邦大学医学部客員教授。最新刊に『がんと闘う!名医と最新治療』(主婦と生活社)。著書多数。