<決定版・欽ちゃんインタビュー>萩本欽一の財産(28)「同じ茶の間でも『欽ドン!』と『欽どこ』では全く違う」


高橋秀樹[放送作家]

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テレビ朝日のリハーサル室に作ってもらった寝泊まりできるセットでテレビカメラを覗いてズームしたり、引きのショットにしたり色々していると、何回かするうち、大将(萩本欽一)はあることに気づいた。

「あのね、全体を撮ってみると、真ん中が何にもないの、空いてるんだ。これじゃや茶の間に伝わらないって気づいたもっと寄りでとらないと」

僕「でも大将。コント55号の時は引きで撮れって言ってました。引きじゃないと体全体に点を入れて芝居をしているのに、それがわからないから笑えないって」

「『なんでそうなるの?』は55号の末期だったけど、それはたしかにそうだ」

『コント55号のなんでそうなるの?』(日本テレビ)は浅草松竹演芸場での公開録画であった、欽ちゃん二郎さんが舞台の下手から上手まで猛スピードで動き回るコント、腹を抱えて笑った。僕が、55号のコントを書いてみたいと思ったのもこの番組を見たからだ。

「あの時のコントは舞台用に作ってあるコントをそのままやってた、頭の天辺からつま先手先、体全部を使うコントだから引きで撮ってもらわないと困る。でも、アレ演芸場の笑いの半分以下しか茶の間に伝わってないと思うよ」

そうだったのか、意外である。

「その理由はね『なんでそうなるの?』の55号も引きだから、真ん中が空いてる。だから茶の間に伝わらない。伝わるためには真ん中を空けない。もう、ひとサイズ、ふたサイズ、寄ればいい、だってあんなちっちゃなテレビの箱から見えてるくるもんなんだから」

「寄り過ぎると芝居の自由度が減るんじゃないですか」

「いいの、それが狙いだから。なるべく立たないで腰から上の芝居にする。中腰になったら立ったと同じ感じに見えるようにする。それが『欽どこ』の茶の間。笑いとしては点が入れにくくなるんだけど、『欽どこ』で真屋順子さんはじめ演者が全員笑いを知らない人だから、点を入れることなんか説明せずに、僕の指示通りに大きくは動かない芝居をやってもらった。点を入れてる、しかも寄りのサイズで点を入れているのは俺だけ」

その『欽どこ』の茶の間とは、ちがって、引きのサイズで撮ってあるのが『欽ドン!』の茶の間だ。

「『欽ドン!』の方は、笑いのできるプロがいたからねえ、引いて芝居が見えるようにしてやらないと可哀想だ」

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。