<2015年春のドラマ一挙案内・金曜/土曜編>「アルジャーノンに花束を」「天使と悪魔」「不便な便利屋」「ドS刑事」「64」

テレビ

黒田麻衣子[国語教師(専門・平安文学)]

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4月から続々と始まっている各局のテレビドラマ。ドラマ好きのアラフォー女である著者が、今期の地上波のドラマをチェックしてみました! 第3回目の今回は、金曜日・土曜日放送分です。
◼︎TBS系22:00~(4月10日)『アルジャーノンに花束を』
TBSの金曜ドラマ枠は、冬クールの『ウロボロス』、湊かなえ原作の『Nのために』や『夜行観覧車』など、ミステリータッチの見応えあるドラマを数多く生み出している枠である。
今回は、ダニエル・キイスの同名小説(原題は『Flowers for Algernon』)が原作の、『アルジャーノンに花束を』。知的障がいを持つ主人公・白鳥を山下智久が演じ、この手の作品を書かせたら右に出るものはいないであろう、野島伸司氏が脚本監修を手がけるという。
実験的脳手術により、幼児の精神と知能であった主人公は、天才的な頭脳を手に入れる。とともに、人格も豹変していく。
この難役を、山下智久がどう演ずるのか、野島伸司はどう描くのか。周囲を固める俳優陣も、『花子とアン』や『Nのために』で大ブレイクした窪田正孝、『ルーズベルトゲーム』で話題をかっさらった工藤阿須加ら、若手のホープから、石丸幹二や草刈民代らのベテランまで、楽しみな顔ぶれがそろった。
不朽の名作と、豪華なキャスト、力のある制作陣で、見応えありそうな『アルジャーノンに花束を』は、4月10日夜22時TBS系列で、初回は15分拡大版で放送される。
◼︎テレビ朝日系23:15~(4月10日)『天使と悪魔~未解決事件特命交渉課~』
新感覚のオリジナル捜査エンターテインメントと銘打った、この作品。「天使のような警察官」を演ずるのは剛力彩芽。バディだけれど、正反対の「悪魔のような天才弁護士」を演ずるのは渡部篤郎。二人は、「未解決事件を司法取引で解決」するのだそうだ。
ネットでは、叩かれてばかりの印象の剛力彩芽ちゃんだけれど、ご本人は毎回、役としっかり向き合い、がんばって演じているなと思わせてくれる。今回の設定は、2013年にTBSで放送された『クロコーチ』とイメージがかぶる気もするけれど、そこは刑事ドラマに定評のあるテレビ朝日の制作、期待して良いだろう。
渡部篤郎さんは、コメディからシリアスまで幅広く演ずる俳優さん。今回はどんな演技を見せてくださるのか、楽しみである。
日本ではなじみの薄い「司法取引」をどう描くのか、事件モノのテレ朝に期待!
4月10日夜23時15分~と、ちょっぴり遅い時間からのスタートだけれど、すでに1~5話は見逃し配信を無料で行うと予告済みなので、起きていられない方は、ネットでどうぞ。
◼︎テレビ東京系24:12~(4月10日)『不便な便利屋』
北海道で大人気を博した『水曜どうでしょう』を手がけた鈴木貴之氏が、北海道を舞台にしたドラマを書いた。脚本・監督を鈴木氏が担当する『不便な便利屋』は「ズレにズレた男3人が奇想天外で予測不可能なストーリーを展開する♡ウォーミングコメディ」だそうだ。
ズレにズレた男3人を、岡田将生、鈴木浩介、遠藤憲一が演ずる。
お話は、富良野を目指していたはずの主人公、新進気鋭の脚本家竹山(岡田将生)が、吹雪で足止めをくらってしまい、田舎町に迷い込んでしまうところから始まる。そこで、なぜか大歓迎を受けることになるのだが、それは「カンチガイ」で・・・。
ゲストとして、『水曜どうでしょう』のメンバー、大泉洋さんや安田顕さんらも出演する予定というから、『水どう』ファンにはたまらない作品となりそうだ。
笑わせてくれること請け合いの『不便な便利屋』は、テレビ東京系列で4月10日深夜0時12分からのスタート。テレビ大阪系列では月曜日放送になるので、13日夜23時58分から。
◼︎日本テレビ系21:00~(4月11日)『ドS刑事』
スポットCMの初っぱなが、「私が刑事になったのはね、犯人をいたぶりたいからに決まってるじゃない!」という多部未華子のドSなセリフから始まるのは、その名も『ドS刑事』。予告動画には、「頭はきれるけど、何をするかまったく予測できない」「彼女の父親はな、警察庁No.2。」「あの人にニラまれたら、出世への道はない」と、同僚役の人たちの声が入っている。
振り回される相棒役には、関ジャニ∞の大倉忠義くん。映画『クローバー』でドS上司を演じたばかりの大倉くんが、今度はドSなバディに振り回される役を演じる。多部未華子ちゃんは、この枠で過去にも女刑事を演じている。(『デカワンコ』2011年1~3月)その時も、キワモノ刑事だったけれど、今回もキワモノっぽい。
武井咲ちゃんとEXILEのTAKAHIROによる『戦力外捜査官』など、この枠の刑事ドラマは、一風変わった設定の作品が多い。
『ドS刑事』も、主人公がドSの女刑事という設定のみならず、共演者には解剖医にミッツ・マンブローブをキャスティングするなど、異色な雰囲気がぷんぷんする。どちらかというと優しい声色を持つ多部さんが、どんなドSっぷりを発揮するのか、見ものである。
日本テレビの土曜枠『ドS刑事』は、4月11日夜9時~放送される。
◼︎NHK22:00~(4月18日)『64(ロクヨン)』
一週遅れて始まるのは、NHKの土曜ドラマ『64(ロクヨン)』。シブい男の生きざまを描いてきたNHKの土曜枠が、今回もまた、演技派の個性的な俳優を揃えてきた。主人公となる地方県警の広報官を演じるのはピエール瀧さん。
原作は、『半落ち』や『クライマーズ・ハイ』などの横山秀夫が、7年ぶりに刊行したベストセラー『64』。この人の書くミステリー小説は、最後まで読者を飽きさせない緻密さを持つので、横山秀夫原作と聞くだけで、見応え十分なことは保証されたようなものだ。
たった一週間の「昭和64年」に起こった誘拐事件。未解決のまま14年の時が過ぎ、あわや時効かと思われた矢先に、事件はまた動き出す。この事件を模したかのような誘拐事件が起こり・・・。捜査の第一線を外れたモト刑事に、何ができるのか。
スポットCMを見ただけで、続きが見たくてワクワクしてしまうドラマ『64(ロクヨン)』は、4月18日22時から、NHK総合にて放送。
 
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