50年以上続くTBS「時事放談」に期待したい「いかつい議論」
中島正明[東京作家大学]
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毎週日曜日朝六時から、TBSテレビ「時事放談」が放送されている。
実は、数十年前にも同局では同名の「時事放談」(1957〜1987)の放送がスタートしている。この時のセットは確かちゃぶ台が一つだったと思う。そのちゃぶ台を囲んで、司会(細川隆元、小汀利得)とゲストが政治や経済の問題を熱く議論する。いつも白熱していた「いかつい番組」であったように記憶する。
現在の「時事放談」はどうか。ベテランのキャスターに、高名なゲスト。取り上げる議題も世間一般の関心事が多い。視聴者のターゲットは多分高齢者であろう。日曜の早朝六時、放談は穏やかに始まる。
昔の「ちゃぶ台・時事放談」に比べて違和感を感じることもある。その一つが「セット」だ。
ゲストとキャスターが同じテーブルについていないのだ。異質で高低差のある二種類。しかも高名なゲストのテーブルより、キャスターのデスクのほうが高い。見方を変えると、キャスターが先生で、ゲストが生徒に見えてしまう。
二つ目は「番組の終り方」である。
最後に女性キャスターがゲストに「最後に、これだけは言っておきたい事を…」尋ねるコーナーがある。しかし、「『これだけは』の一言」が言い終わらない内に、ひどい時は一人目のゲストも終わらない内に、「残念ながら、時間となりました」とあっけなく番組が終了してしまう。
それも一度や二度ではない、毎回これを続けている。ゲストに対して、視聴者に対して、早急に改善すべきで問題だと考える。
それと、今の「時事放談」は清水がさらさらと流れる小川のようにも感じる。せっかくなのだから、時には濁流となって、川からあふれんばかりの勢いはほしい。
これは個人的な願望だが、一回で良いから、かつてを思い出し「ちゃぶ台」でやる回も放送してほしいものだ。
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