明石家さんま「たけし、さんま、所の3人が一斉にやめないと後が出てこない」
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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デイリースポーツネット版が「さんま たけし、所と集団引退すべき」との記事を配信した。
明石家さんま(60)による、25日深夜に放送されたMBS「痛快!明石家電視台」での発言からだ。筆者もこの番組を見て思ったことは、この一連の発言で重要なのは、引退の理由の方である。
今のテレビ芸はすべて「きっかけの発言」と、それに対するリアクションと、さらにリアクションへのフォローの三つで成り立っている。この三つが時に繰り返されて、時に変形されて進んで行く。
芸人はこれが出来なくなったときに引退を考えるだろう。「直ぐにリアクションの言葉が思いつかない」、「うまい例えが浮かばない」、「こう動いているつもりなのにイメージ通りの動きになっていない」などだ。
さんまさんに限って言えば、それは永遠にできるように思える。さらに言えば、さんまさん本人が引退を考えたとしても、周りがそう簡単には引退させてくれまい。
【参考】<明石家さんま論>「俺について書いた本を出したい?ええけど、さんま言う名前は使わんで書いてな」
さんまさんは引退の理由をこう述べる。
「3人が一斉にやめないと育たないんですよ。ビートたけしがいる限り、次のビートたけしが出て来ないらしい。社会の仕組みとして。明石家さんまが抜けなければ明石家さんまが出て来ない。俺らがいなくなると出てくるらしい。社会の仕組みとして」
これは端的にまとめると「ベテランが抜けてこそ、新しい世代が育つ」という意見をさんまさんが持っているように考えられそうだが、実はそうではないように思う。
本心は次にあると筆者は考えている。
「テレビがダメになってきてるから余計にイライラする。俺たちが抜けたほうがいいんじゃないかなと思う」
越えていく人は上がいくら詰まっていても越えていく、当の明石家さんまがそうだったのだから。
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