<あなたはどれ?テレビ局の番組制作集団を分類する>「命ずる人」、「言われたとおりに作る人」そして「ただの員数合わせの人」

テレビ

高橋秀樹[放送作家]

 
テレビ局の番組制作集団を2分類すると、「命ずる人」と「言われたとおりに作る人」に分かれる。両方出来る人ももちろん居るが、「命ずるひと」と「言われたとおりに作る人」の資質はまったく違うので、よく見極めて配置しなければならない。
番組制作集団は全体の1割ほどのテレビ局の正社員と、9割を占める下請けプロダクションの人間で構成されている。不幸なのは1割ほどのテレビ局の正社員は、資質を見極めることなく「命ずる人」のほうになってしまうことである。
「命ずる人」は決めなければならないのに決められない。適切に直しの指示を出さなければならないが、どこが悪いか見抜けない。取材の意図と勘所を自分のことばで言わなければならないが、ことばを持たない。
細かい自分の趣味の範疇の指示を出してはならないが、大局観がない。そんなだめな人がテレビ局の正社員だというだけで「命ずる人」になってしまうのは、理不尽で、悲劇的である。
「言われたとおりに作る人」は、評価が高い。信頼できる職人だからだ。たとえば、アメリカのテレビ界にはカメラのケーブル捌きのプロが居り、指名で仕事を得て高級を取る。舞台監督も専門職だ。
ただし、テレビを作ろうと思い立った人なら、言われたとおりに作るだけでは面白くない、と思うのが普通だろう。
ということで「言われたとおりに作る人」を、さらに2分類してみると「言われたとおりに作れる人」と「ただの員数合わせの人」に2分類できる。「言われたとおりに作れる人」は、言われたとおりに作ったうえで、自分のオリジナルを足して作品にする。
言われた内容の最低でも1.2倍の面白さにして「命ずる人」に提出する。当然評価は上がるがその才能がすんなり認められて「命ずる位置に異動できたり」「職人として高給をとる人にならない」ところが、今の日本のテレビ番組の停滞と、つまらなさを招いている原因のひとつだと、僕は思うのである。
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