<「アメトーーク」の中途半端さに苦言>テーマを決めて芸人を集めて適当にしゃべらせる「いい加減」な番組作り


高橋維新[弁護士]

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2015年7月9日放映のテレビ朝日「アメトーーク」のテーマは、「ボートレース芸人」だった。

ボートレースというのは、「競艇」というギャンブルのことなので、これを趣味としている人たちの中には「ダメ人間」といっていい人が確実に一定数いる。こういうダメ人間をバカにする形で番組を進めれば「何かをバカにする回」としておもしろくなると思われた。

実際に今回放映された中身を見ると、ギャンブルに翻弄される「ダメ人間」(出演者の芸人自身も含む)をバカにして笑いをとるシーンが何か所もあった。それに加えて、ダメ人間を笑うシーンの他にも、何かをけなして笑いをとるシーンは多めであった。

競艇のシュールなCMをバカにしてみたり、競艇選手が開会式でネタを仕込んでスベっているのをバカにしてみたり、蛭子能収の天然っぷりをバカにしてみたりといった具合である。全体的には、「何かをバカにして笑いをとる」ことが志向されていた回と言える。

他方、番組の冒頭では「(今回の放送で)ボートレースのイメージアップをしたい」ということが宣明されていた。この目標の通りに撮影を進めれば「ボートレースがいかに凄いかを説明して褒める」回になり、おもしろくなくなってしまう。

ただ、冒頭で「ボートレースのイメージアップ」という形で目標を設定しても、その後「ファニー」な画作りができなくなるわけではない。その後の中身でボートレースをバカにすれば、MCが「全然イメージアップできてへんやん! 何やっとんねん!」とツッコんで、オチにできるのである。つまり、最初の目標設定を単なるフリとして、全体的に締まった映像が作れるのである。

今回も、宮迫博之が最後に「実際イメージダウンしてますよ」という形でツッコんではいたので、番組としては冒頭での「イメージアップ宣言」をフリにして、中身ではボートレースをとことんこき下ろして終わる、という形にしたかったのかもしれない。

しかし、実際にはボートレースがいかにおもしろい競技なのかが説明されたり、ある選手がいかに偉大ですごい人かが説明されたりといったシーンもちょいちょい挟まれていたため、結局、中途半端で何がしたいのかよく分からなかった。

加えて「何かをバカにして笑いをとる」部分にしても、バカにする対象は前述の通りギャンブル好きのダメ芸人ばかりではなく、選手だったり、CMだったり、いろいろな要素を含んでいたため、ポツポツと起こる笑いは単発のものばかりであって、全体としての深みや一体感が乏しかった。

全てが、中途半端なのである。

ただただファニーを志向するとしたら、もっと明確に何をどういう順番でバカにするかを決めておく必要がある。どうにも「アメトーーク」という番組は、テーマを決めて、その後漫然とそのテーマに詳しい芸人を集めて適当にしゃべらせるという、いい加減な番組作りをしている気がしてならない。だから中身も中途半端になるのである。

多分、ボートレースみたいな何かの「趣味の対象」をテーマにした回は、毎回、今回書いたような「中途半端」という問題が共通して生じる気がするので、筆者もわざわざ毎週見るまでもないという考えになりつつある。

そんなことを言われたくなかったら、毎回もっとちゃんと全体の流れを決めて、その目標通りの映像を撮りきることである。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。