<直接本人に聞いてみた>キングコング西野亮廣が「27時間テレビ」に出演しなかった理由


藤本貴之[東洋大学 准教授・博士(学術)/メディア学者]

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ナインティナインが総合司会を務めた今年のフジテレビ「27時間テレビ」。この放送の出演をめぐって、キングコングの西野亮廣がちょっとした話題になっている。

ことの発端は、7月31日に放送された「岡村隆史のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)でのことだ。

西野さんは、今年の「27時間テレビ」には出演せず、相方の梶原雄太さんのみがピンで出演していた。このことについて、岡村隆史さんが「オールナイトニッポン」の番組内で、

「西野がラジオで27時間テレビは、『スタッフから出るのが当たり前のような態度をとられたので、断った』と、言っていた」

というリスナーからのメールを紹介した。それを受けて岡村さんは、西野さんの「ひな壇には出ない」等の常日頃の芸人のとしてスタンスや芸人として立ち位置・考え方についてまで言及し、厳しい苦言を呈した、というのだ。

もちろん、この部分だけを見聞きする限り、西野さんの芸人としての考え方には、大いに問題がありそうだ。この話が事実であれば、西野さんの芸人としての姿勢は、総合司会の大役を頑張る先輩芸人への協力意欲や仲間意識の薄い、薄情な人間に映る。岡村さんが苦言を呈するのも無理はないし、ファンならずとも腹立たしくなる。

しかし、筆者はここでちょっと気になったことがある。今回の一件の発端は、リスナーからの一通のメールでしかない。果たして岡村さんは「リスナーのメール」から知り得た「西野亮廣がラジオで言ってました」ということの「裏」をとったのだろうか? 同じ事務所なのだから、事実確認ぐらいは容易にできそうなものである。

もしリスナーからのメールだけがソースであれば、それは十分な注意と警戒が必要だ。「炎上商法の達人」とまで揶揄される西野さんだけに、いわゆる「ネット民」からの口撃は決して少なくない。西野さんを貶めるための「いたずら」の可能性も否定はできないからだ。

筆者が知る限り、キングコング西野亮廣が最近、ラジオに出演した、という話はとんと聞いたことがない。もちろん、筆者が知らないだけで、ラジオに出ているかもしれない。憶測だけしていてもラチはあかない。

そこで、筆者は直接、西野さんに確認の取材を敢行した。

— 「岡村隆史のオールナイトニッポン」のリスナーから「西野がラジオで『27時間テレビは、スタッフから出るのが当たり前のような態度をとられたので、断った』と、言っていた」とありますが、これは事実なのですか?

キングコング・西野亮廣「そういった事実はありません。そもそも最近、ラジオに出てないっす(笑)」

— では「27時間テレビ」に出演せず、相方の梶原さんだけの出演になったのはなぜですか?

キングコング・西野亮廣「当日は僕だけが、長崎でロケをしていました。」

本人に直接確認してみると、実は、単に「他のロケ仕事とバッティングしていた」ということであるらしい。そして、そもそもラジオにも出ていないという。そう考えれば、オールナイトニッポンのリスナーメールは単なる「デマ」であり、悪質な「いたずら」であることがわかる。

もちろん、「先輩の大仕事に協力するためにも、地方の仕事はキャンセルすべきではかったのか?」という指摘もありうるが、これも考えようによっては「どんな仕事も分け隔てなくこなす西野亮廣の責任感」と、とれなくもない。

いづれにせよ、仕事に貴賎はないし、テレビの仕事はそう簡単にスケジュールの変更はできないものだから、出演できなかった理由としては極めて妥当である。

そう考えると、今回の先輩芸人・岡村隆史からの苦言と、それを起因にした「西野批判」の発生には、少なからず同情をしてしまう。

— 今回はさすがに同情すべき「デマ口撃」と、それを信じてしまった岡村さんからの「誤爆」です。この際ですから、岡村さんおよびオールナイトニッポンのリスナーにメッセージを一言お願いします。

キングコング・西野亮廣「8月2日から東京・外苑前で『おとぎ町ビエンナーレ』という入場無料の個展がスタートします。是非、遊びに来てください」

同情してしまう今回の一件ではあるが、この一言を聞いてしまうと、今回も「炎上商法」だったのではないか、と少しだけ疑ってしまう。

個展のタイミングも良すぎる気がするが、今回ばかりはキングコング西野亮廣を信じたい。
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藤本貴之(ふじもと・たかゆき) 東洋大学総合情報学部・教授(情報デザイン論・メディア構造論)/北陸先端科学技術大学院大学・教育連携客員教授/藤本情報デザイン事務所・執行役員/JAGDA正会員/最先端のメディア研究・メディア技術の知見から、アカデミズムの枠を超え、企業や自治体などを対象としたメディア設計や情報発信戦略など、数々の実践的なプロジェクトを手がけている。主な著書に『だからデザイナーは炎上する(中央公論新社)』『情報デザインの想像力』『脳にアイデアを思いつかせる技術(講談社)』『映像メディアのプロになる!(河出書房新社)』など、多数。