<「アメトーーク」はネタ探しに迷走中?>「独身こじらせ芸人」の半年後に「寂しがりや兄さん」にカブりテーマ


高橋維新[弁護士]

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2015年8月27日放映のテレビ朝日「アメトーーク」について。テーマは、「寂しがりや兄さん」であった。

プライベートの時間を一人で過ごすのがイヤで、できるだけ常に別の人(特に後輩芸人)と一緒にいようとする芸人たちの「寂しがりや加減」「弱さ」「面倒くささ」をバカにして笑う企画だ。これは、バラエティとしては手堅い「何かをバカにする回」に当たる(http://mediagong.jp/?p=8317)。

そのため、放送前の期待は高かったが、全体的な感想を正直に述べると、「あまりハネなかった」の一言に尽きる。

それは、なぜだろうか。

ひとつ感じたのは、本年2月5日に放映された「独身こじらせ芸人」と中身がかなりカブっているということである。

まず、出演者からして結構カブっている。千原ジュニアとサバンナ・高橋という実力派は両方に出ている。また、スピードワゴン・小沢は今回チュートリアル・徳井と絡む話が多かったのだが、徳井の方は「独身こじらせ芸人」に出ており、小沢との話も出てきていたと記憶している。

「独身こじらせ芸人」は、アラフォーのおっさんなのに結婚せずにいる芸人たちの奇異な行動や「結婚不適合者っぷり」を笑う回。トークのエピソードとして「彼女よりも後輩芸人が好き」という種類の話がかなり出てきており、「普段後輩芸人とどのように付き合って遊んでいるか」というまさに今回のテーマになる話がもう既出の状態だった。

「独身こじらせ芸人」は今年の2月5日に放映されたものである。まだ半年しか経っていないのに同じ番組で同じ話をするわけにはいかない。千原ジュニアやサバンナ・高橋レベルの芸人なら当然それぐらいのわきまえと倫理観はある。

しかしながら、後輩と絡む話の中でおもしろい話は「独身こじらせ芸人」で喋ってしまっている。だから、今回はあまりおもしろい話が話せなかった。そういうことではないだろうか。

この2人以外の出演者には、前述のスピードワゴン・小沢のほかに、よゐこ・濱口、平成ノブシコブシ・吉村、ウーマンラッシュアワー・村本がいたが、トークの実力的には一段劣るため、2人が出がらし状態になっているのをカバーしきれてはいなかった。

もちろん、基本的にはたった半年前の企画とかぶるテーマ設定をしてしまった番組側の責任である。その中でも頑張っていた芸人たちにはエールを送っておきたい。

さて、前回から始めた出演者の寸評である。5点満点で採点してみたい。

【千原ジュニア】(千原兄弟)3.1点

エピソードに関してはあまりおもしろいものがなかった印象である。

ジュニアの強みは、自分一人でのトークでも笑いがとれることに加えて、(松本人志に匹敵するほどの)たとえの力を駆使したガヤにある。

だが今回は放映全体を通して芸人たちの有機的な絡みが少なかったので、この程度の点数になる。それでもジュニアは終盤に「竜宮城」のガヤを入れて気を吐いていたので、最低限の意地は見せたということか。

【高橋茂雄】(サバンナ)2.9点

ジュニアと同じでエピソードに関してはあまりおもしろいものがなかった印象。

ジュニアとの点差は、「竜宮城」のようなガヤがなかった分である。

【濱口優】(よゐこ)2.9点

高橋とまったく同じ。エピソードのみで評価するとこの程度の点数。そして、ジュニアのような有機的なガヤはなかった。たまに単発で使われているものはあったが。

【小沢一敬】(スピードワゴン)2.7点

小沢のおもしろさは天然ボケであるが、あまり泳がされていなかったし、小沢自身もあまり前に出ていなかった。

チュートリアル徳井みたいな親しい芸人や、ザキヤマみたいな徹底的にいじるタイプがいればもっと生かせたのかもしれないが、やってみないと分からない。

【吉村崇】(平成ノブシコブシ)2.9点

高橋・濱口に同じ。

【村本大輔】(ウーマンラッシュアワー)2.6点

基本的には高橋・濱口と同じ。

ただし、以前にも同じようなことを書いたことがあるが(http://mediagong.jp/?p=11274)、どうにも村本の話には嘘くささが混じる。

嘘というのは、2パターンあって、実際にはなかったことをあったかのように話すことと、自分が本当は寂しがり屋でもなんでもないのにそれを演じるために(そしてアメトーークで仕事をとるために)あえて寂しがり屋のような行動をとるというものである。

今回は、村本の実際のLINEのやりとりも出ていたので、実際になかったことをあったかのように話しているわけではないだろうが、このLINEのやりとりというのがどうにも作為的で、村本が敢えて寂しがり屋を演じているように感じてしまった。あくまで印象なので、別にそれ以上の根拠はない。

多分、キャラクターや喋り方で損している面はあると思う。村本と言えば「クズ」「生意気」で売っているので、本当は寂しがり屋なんだよというのを信じてもらうためにはそれなりの説得力のある話を出す必要があるのだが、なんか作為的なものしか出ていない印象なのである。

【宮迫博之】(雨上がり決死隊)3.0点

小沢をもう少し泳がせてほしかった印象はある。

他の芸人のエピソードトークに対しては、最低限の対応はできていた。

【蛍原徹】(雨上がり決死隊)0.7点

前回と同じく簡単な進行以外の仕事をしていない。

前回よりは長い台詞をしゃべっていたのでその分加点した。

【新川優愛】1.1点

ゲストの女性タレント。できるだけ横顔で映ろうとしていた印象があるが、あくまで筆者の印象である。MCからフラれないと話ができていなかったので、及第点はあげられない。

芸人をバカにして笑いをとる回なのだから、女性ゲストには、Sっ気タップリに攻め込むとか、表面上は肯定している感じで小馬鹿にするとか、芸人たちをいじめる役目が期待されているはずである。

Sっ気は、小池栄子やMEGUMIに学ぶところが大きい。小馬鹿にするのはローラが得意である。前者については、小池栄子もMEGUMIも女性タレントとしては歳をとりすぎたので、空白が生じている感がある。今はこのポジションを手に入れるチャンスなので、頑張ったらいいのではないだろうか。

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。