<元TBS・社会部長が辛口批評>今のジャーナリズムはテレビ/新聞よりラジオが面白いのはなぜだ?


杉崎一雄[元・TBS社会部長/元「ニュース23」編集長]

***

TBSで長い間報道の職場にいた人間として、また人生70年を迎えたものとして、今のジャーナリズムにいろいろ言いたいことが出てくる。

まずジャーナリズムの問題として次のようなことが挙げられる。

  • 安倍政権の安全保障、外交、防衛政策、民主主義のあり方などをめぐって、いま日本のジャーナリズムは、読売、産経、日本テレビ、フジテレビと朝日、毎日、東京、TBS、テレビ朝日とにはっきり分断されている。安倍総理も前者にはテレビ出演等、あからさまな協力的姿勢を取っている。双方が悪口を言い合うのは、戦後初めてだ。
  • テレビ新聞のジャーナリズムが持つ本来の力、社会を革新する力を失っている。
  • それはなぜか?記者クラブのもつ談合的体質、そこを通じて出てくる官邸発、官庁発のネタが金太郎飴のように出てくる。
  • 記者会見が質問者と総理など当事者の間で、出来レースになっていて双方に緊張感が見られない。要するにツッコミが足らない。
  • 記者の不勉強か、あるいは人員不足か、若すぎて経験に乏しいのか、ジャーナリズム本来の「調査物」「追跡物」が少ないし乏しい。

常日頃、政治、経済、外交などのニュースに不満な「隠居じじい」にとって、いま、溜飲が下がるのが、ラジオの番組だ。若さと力と希望にあふれた分析力を持っているとは言えないまでも、今、鋭い分析力と開放性を持っているのがラジオだともいえよう。

そこで10月12日(月・祝)から10月17日(土)までに聞いたラジオ番組から、TBSラジオと文化放送を中心に記憶に残ったことを記したい。

***

【10月12日(月・祝)】

*鳥越俊太郎(TBS「大沢悠里のゆうゆうワイド」)

先日、共産党の志位委員長が民主党に参.院選の選挙協力を呼びかけた話をこのラジオ番組で話しましたが、「赤旗」の関係者が聴いていたらしく、志位さんに会ってきました。次の参院選は難しいが、「立憲民政党」というような憲法を守ることを主にした政党を野党各党が作ってやったらいいんじゃないの。自民公明が多数を占めていて動きの取れない野党、ピンチをチャンスにして欲しいですね。最近はやりにホールデイングカンパニーだよね。

*小室等(NHK「残間里江子のわがままホリデー」)

残間さんから、これからの音楽活動について問われ、(ワンポーズあったあと・・・)

「銃を持って、外国へ行くようなことのないような活動をしてゆきます」

と、キッパリ。

*楠原佑介(文化放送「くにまるジャパン」)「この地名が危ない」著者

先日の鬼怒川水害の時、埼玉県の東武伊勢崎線のせんげん台駅周辺の住宅地が水没した。日本では地面の低いところでも「○○台」「△△ゲ丘」といった、さも高台にあるような不動産物件が出ているんです。せんげん台の水没はこの典型例なんですよ。アメリカではこうした詐欺まがいの不動産売買は法律で禁止されているんです。「せんげん台」というより「せんげん堀」ですね。

常総市の水害もそもそも、昔から水害常襲地で住宅を建てるのには不向き。あれだけ水が引くのに時間がかかったことが証明してるじゃないですか、これ、私の意見。

*荒川強啓(TBS「デイ・キャッチ!」

ラグビーワールドカップ・イングランド大会、一時予選最終戦。アメリカに28-18で勝利。準々決勝戦には出られなかったけれど、3勝1敗で日本開催にはずみとなった。番組内である人がつぶやいた「この大成果について、あの人だけにはリアクション聞きたくないなー」

誰のことだかわかりますか?

五郎丸、畠山、藤田らの早稲田ラグビー部、OBではないのにOBズラしている、オリンピックのドンですよ。

*青木理(TBS「デイ・キャッチ!」)

安倍首相の掲げた一億総活躍社会、新・3本の矢について、自民党前総務会長の野田聖子と同席したとき、「私は何も聞いていない、前の3本の矢.の時はどうするか具体的に議論した、今回は何もない」とのこと。

番組では、2020年GNP600兆円、合計特殊出生率1.8なんて、出きっこない、とメチャメチャに切られていたが、前の3本の矢、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長政策はどうなったの。

そういえば、NHKの解説委員もラジオでこんなことを言っていた、今度の新3本の矢、強い経済、子育て支援、安心につながる社会保障は、「矢ではなく、的でしょう」矢と的を混同していると指摘していた。NHKもテレビでは恐ろしくて、こんな発言はできないでしょう。ラジオは開放的でいいですね。

【10月13日(火)】

*大沢悠里( TBS「ゆうゆうワイド」)

毎日新聞大坪信剛社会部長とのコーナーで、大沢さんがキレた。金沢で馳文科相が、二階総務会長から、一億総活躍担当相なんて、訳のわかんねー大臣にならなくてよかった、と言われたとの話の後、大沢さんが、一億総活躍なんかより、「派遣」の方がよっぽどひどい。会社が調子いい時は派遣を増やし、調子悪くなったら切る。しかも昇給はしない。

終身雇用制はいろいろ言われるけど、35歳で係長になるとか、人生設計ができるんだよ。若者だってこれじゃ結婚できないよ。

挙げ句の果て、「派遣は大嫌い」とキレてしまった。毎日の大坪さん、まあ、まあ、ととりなしたところ、大沢さん、ちょっと興奮して申し訳ないと、平謝り。ラジオって言いたいことが言えていいな。テレビには過剰な自主規制がありすぎるよね。

*吉崎達彦・双日総研役員(文化放送「くにまるジャパン」)

ノーベル生理学・医学賞の大村さん、物理学賞の梶田さんについて話した。この中で、梶田さんの受賞に大きく貢献したスーパーカミオカンデの後継施設、ハイパーカミオカンデの計画がある。球体に水量が100万トン、規模がスーパーカミオカンデの20倍。受賞を契機に計画が少し進むかもしれない。民主党政権時代、蓮舫行革担当相がカミオカンデに異議を申し立てていたが、少し慎重に、とクギを刺した。

小柴さんからの東大宇宙線研究所の研究体制は、いかにも東大らしく、東京大学が国際大学ランキングで落ちても、永久に、東大はなくならないことを表している、という。

*荒川強啓・小西克哉(TBS「デイ・キャッチ!」)

米軍普天間飛行場の辺野古移設にあたって、沖縄県の翁長知事が埋め立て承認を取り消した。この件についての荒川強啓と小西克哉デーキャッチャーとのやり取り。

荒川「最終的には、裁判ということになるんでしょう」

小西「日本の司法は、政府と一体だから、沖縄側は負ける」

荒川「負けたらどうするんでしょう」

小西「選挙で勝つしかないんですよ」

荒川「現にこの前の衆院選では、沖縄の全選挙区で反対側が勝っているんですよ。どうすりゃいいんですか」

小西「暴力ですよ」

荒川「え、暴力ですか」「暴力はだめでしょう、何か他に良い方法はないんでしょうかねえ」

どうしても海兵隊の基地を建設したいのならば、富士山麓の静岡・山梨両県にまたがる広大な、アメリカ軍と自衛隊の演習場に移転したらどうでしょう。自衛隊は毎日、実弾を撃っているし、富士山は自然遺産として世界遺産に登録されなかったんだから。その理由は、富士山は軍事基地に取り巻かれていることと、ゴミがあまりにも放置されているからと言われています。これ、私見です。

【10月14日(水)】

*森本毅郎(TBS「スタンバイ!」)

毎年6000件の事故が報告されている「組体操の高層ピラミッド」が取り上げられた。

以前、この番組のコメンテーターの山形さんが「あんな危険なもの、大嫌いだ」といっていたが、危険だといわれながら毎年行われるのは、学校の教職員も生徒も支持しているからだという。皆で作り上げる、迫力があって感動する、達成感があるとのことだが、森本さん「支持される理由がよくわからない、教育委員会が主体的に乗り出して親任せにしない」といった対策が必要だと述べた。

この問題では、首都大学東京の政治学者木村先生が、文化放送で、一番重要なのは、ピラミッドが崩れた時に、重傷者が出るケースが多いと指摘していた。日本スポーツ振興センターの2013年度の組体操の共済金の支払いは、小中あわせて8200人、生徒数は1100万人。1000人のうち0.74人が怪我をした計算になる。学校内のほかの事故と比べて多いのか少ないのか、よくわからない。

「組体操中止を教育委員会に持ち込んで押さえ込む」普段は教育委員会の過剰介入を批判するものが、介入を求めるのはいかがでしょうか。

*大竹まこと(文化放送「ゴールデンラジオ」

沖縄県の翁長知事が辺野古沖の埋め立て承認を取り消したことに対し、防衛省が国(国土交通省)に行政不服審査法に基づいて請求したことについて「行政不服審査法って、国民が行政に不服、文句があるとき使うんだろう。

国が国に対して文句言うことには使えねーよ。国は訴えを認めるのは当たりめーじゃねーか。デキレースの不服審査請求、公明党の国交相、さてどうする。

*荒川強啓(TBS「デイ・キャッチ!」)

「あなたの一句が日本を変える」恒例の時事川柳(満点は50点)

  • 沖縄は 総活躍の 外ですか    (44点)
  • 抵抗に 口をへのこに する総理  (45点)
  • 収賄と サギには便利 マイナンバー(42点)
  • マイナンバー業者にせがみ 毎晩バー(48点)

【10月15日(木)】

*伊藤惇夫・政治評論家(文化放送「くにまるジャパン」)

「深読みジャパン」にて、政治評論家・伊藤惇夫さん。軽減税率について安倍首相と公明党と維新との関係について一句「大阪と公明比べ軽減へ」安倍首相が軽減税率について急いで指示を出したのには、大阪(維新)と公明(党)を比べ、どちらを取ったら得か、ということが背景にある

公明党は前回衆院選で、消費税10パーセント引き上げの時「軽減税率」導入を自民党と共通公約にしていた。財務省が還付方式の案を示したのに対し、こんなの「軽減税率じゃねえ」と怒り狂って、次の参院選挙では、協力しねーと自民党に一種、恫喝した。安倍首相はこれまで「維新」との連携を深めて来た。大阪の「都構想」住民投票で「維新」が勝てば、自民党は「維新」と組む。そうすれば公明党は渋々ついてくる。それが、負けた。今度の分裂騒ぎでも、「おおさか維新」が多数を占めれば、頑張ってもらおうと思っていたところ、東京組の方が多数になりそう。「おおさか維新」は元気がないなー。それなら公明ともう一度やり直そう。それが安倍さんが軽減税率に指示を出した背景じゃないか。勘ぐりにしても、浅い勘ぐりでしたネ、伊藤さん。

ちなみに「くにまるジャパン」には創価学会のスポットCMが入っていて、このニュースの少し後に流れた時には、思わず笑ってしまった。

*櫻井幸雄・住宅評論家(TBS「デイ・キャッチ!」)

「荒川強啓のデイ・キャッチ!」にTEL出演。横浜のマンション傾き問題。マンション建て替えの時に代替の施設は、より都心に近く、より面積が広いといった住民に有利な住まいになる。こうした欠陥マンションは、今安くてお買い時です、という時に発生しやすい。不動産業者にすれば「安く、ちゃんと作れ」と指示を出しても、建設業者は、下請けに出して値切る、ごまかして建築するものも出てくる、という。購入者とのトラブルは「品確法」という法律で結論を出すという。ラジオなのでしかもTEL出演なので,品確法という文字もわからない。荒川さんは「どういう文字を書くんですか」「どういう法律なんですか」と聞かないので、それこそ群盲象を撫でる状況だ。

ラジオで聴取者に分かりやすく、丁寧に伝えるのは大変だとは思うが、知恵が必要だ。ちなみに「品確法」とは「住宅の品質確保の促進に関する法律」というのが正式名だ。法律の柱の一つが住宅性能表示制度で、基準に合格し評価を受けた住宅は、紛争にあったとき、もうひとつの法律の柱である紛争処理機関に申告して解決する。この紛争処理機関は弁護士会などで構成される。欠陥住宅問題の紛争解決処理法はきちんと出来ていたんだ。

【10月16日(金)】

*伊藤洋一・三井住友トラスト基礎研究所主席研究員(TBS「スタンバイ!」)

「虎屋17代黒川社長の赤坂本店改築のお知らせ」について語る。素晴らしい文章なので転記します。

「この店でお客様をお迎えした51年のあいだ、多くの素晴らしい出逢いに恵まれました。三日にあげずご来店くださり、きまってお汁粉を召し上がる男性のお客様。毎朝お母さまとご一緒に小型羊羹を1つお買い求めくださっていた、当時幼稚園生でいらしたお客様。ある時おひとりでお見えになったので、心配になった店員が外へ出てみると、お母様がこっそり隠れて見守っていらっしゃったこともありました。

車椅子でご来店くださっていた、100歳になられる女性のお客様。入院生活に入られてからはご家族が生菓子や干菓子をお買い求めくださいました。お食事ができなくなられてからも、弊社の干菓子をくずしながらお召し上がりになったと伺っています。

このようにお客様とともに過ごさせて頂いた時間をここに書き尽くすことは到底できませんが、おひとりおひとりのお姿は、強く私たちの心に焼き付いています。」

伊藤さんは、お客様ひとりひとりに対する愛情あふれる眼差しが、虎屋の店員ひとりひとりに染み渡っていることに、室町時代に創業し、代々皇室御用達を務めてきた虎屋の伝統を感じるのです。

私たちは、こうしたおもてなしの素晴らしい文化を持っています。大きな企業の不祥事を見るとき、日本文化の形骸化が始まっていると感じざるを得ません.。虎屋の生き方は我々の道しるべとも言えるものです。

【10月17日(土)】

*大宅映子の辛口コラム(TBS「堀尾正明+PLUS!」)

マイナンバー制度について。マイナンバー制度には、国民総背番号制度以来長い歴史がある。背番号制度は経営状態、財産の補足がされてしまうといった反対で潰れた。(反対の急先鋒は、あのドン金丸先生だった、自民党の支持者が潰したのだ)サラリーマンは収入を全部補足されているのに、クロヨン、トウゴウサンと言われていたように農家や自営業者は税金を免れてきたんですよ。税金を公平に取るのは当たり前なんです。今度のマイナンバー制度についても、早々と「家計を丸裸にされるのは嫌だ」と反対の声が上がっている。よく考えてください。国民の2割の金持ちや自営業者の収入や資産を正確に補足し、所得税や相続税をきちんと収めることになるので、より公平になるんですよ。

医療面でみても、過去の病歴が記録されるとデータが流失した時の心配はあるものの、3・11の大地震の時のように薬の服用者が、飲んでいる薬を忘れても、マイナンバー制度ではすぐ支給されるようになる。マスコミも負の面ばかり強調しないできちんとした報道をしてもらいたい。

 

 【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.

杉崎一雄

杉崎一雄(すぎさき・かずお)元TBS「ニュース23」編集長、元TBS・社会部長